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小説「イメージ4」

小説 イメージ No:63

 あらすじはNo:57にあります。
 抜けている部分は回毎に折り込んでいきます。

 まだまだ、と、新党結成と党としての立候補の発表は控えている福賀だ。
福寿司の一泊温泉旅行を打ち上げて福賀は残っている。
 この日はホテル・旅館連盟の女将の会があり、福賀の話を聞きに集まる。
場所は伊豆で一番大きな伊豆観光ホテルの大広間だ。
テーマは「イメージを形にする」そして此の流れは全国の女性経営者の会と
結び付き武道館で合体する。

 其処に唯一の講師として福賀が呼ばれている。
福賀は男女機会均等法を只のイメージではなく男女半々の大臣で組閣した
実践者として実績がある。

「福賀さんから話を聞きたい」
「福賀さんに戦略を学びたい」
「感覚とイメージと想像について聞きたい」
「外交について、エネルギーについて、自然との関りについて聞きたい」
「嫌われない日本についても、もっと詳しく聞きたい」

 福賀について可成りの事を知っていて、その一つ一つに強い関心を持ってお
り、其の上で確かな話を本人から聞きたいのだろう。
福賀は「よりよい環境づくり」内閣の副総理としてヨーロッパ諸国・中近東諸
国・東洋圏諸国の首脳と会っており、それらの国々と不戦条約と相互安全保障
条約を取り付けた人だ。

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「では、此れらの条約の締結をお願いしますって福賀さんは云って平和への
礎を築いたでしょう」
「100年も維持出来る軍事基地何ていらないのよ」
「全ての米軍基地はいりません」
「岩上前総理が以前に仰ってた。福賀副総理は既に世界各国を回って親交を
深めている。それは非常に貴重なものでしたって」
「そうして資料を岩上さんはしっかり待たれていたんだ」
「そして、若くて行動力がご自分より遥かにあるし」

「国連にも福賀さんは働きかけましたね」
「国連の中にも福賀さんのシンパが何人も居たって」
「それで、アメリカの今までに、沢山の軍事基地を日本に置いて支配的な力を
持って植民地化している事に疑問を抱かせた」
「そうですね。ヨーロッパも中近東など多くの国から非難の声が上がり始めた」
「それでもアメリカは日本と安全保障条約を交わして日本を守るために軍事基地
を置いていると弁明」

「しかし、このアメリカの弁明ととれる答えは支持されなかった」
「何故ならアメリカは第二次世界大戦終了後暫定処理として駐留したが、其れは
日本が戦争放棄による無戦国としての独立を見届けるためだった」
「その役割は充分に果たし、日本も充分に答えたはずだ」
「なのに、未だに駐留し多くの基地を存続させ、月毎に日米会議を行い、日本に
圧力を掛けて自国の力を押し付けているのではないか」
「これも岩上「よりよい環境づくり」内閣のメスが入って解除」
「直ぐ云われるのが他国から攻撃されたらどうする」
「与党の面々は、それしか云えない」

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「よっぽど悪い事をしているんでしょうね」
「よっぽど嫌われる事をしてるんでしょうね」
「やられるって決めている」
「それは自然をないがしろにしてきた罪悪感かしら」
「そうです。困ったものです」
「ところで・・・福賀さんの冬眠の話は?」
「聞きたいですね」
「可成り進んでいるとか」

「話は違うけど、福賀さんは記者さんを大事にしてましたね」
「そうです。お互い勉強だって云って」
「なあなあにならないで真剣にやりあっていたそうよ」
「いつも私はよりよい環境を求めています。これは絶対にブレませんね」
「ブレませんね」

「それって悪い環境を是正してからですねって突っ込まれる」
「そうでしたね。そしたら福賀さんは何て答えましたか?」
「私は絵を描くのでキャンバスに向かってイメージを形にして行きます」
「だから?」
「だから画面の中でイメージの環境を出来るだけ良い感じにして行かない
と気持ち良く進められませんって云います」

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「すると?」
「記者さんが良くない感じになったら・・・って聞くでしょう」
「すると福賀さんは思い切って描き直しますって」
「それは経営にも云えるわね」
「政治の世界でも同じじゃないですか」
「そう。描いたものが必ずしも良いとは限りませんしね」
「折角描いたのに?」
「そう。折角って無いって福賀さんは云うのです。求めるものが違えば
其れを大事にして何とかしようとしても良くならないって云うの」
「描き直す、やり直す、思い切りが大事なんですね」

「勿体ないとは?」
「思わないんですね。思ってはいけないって云うのです」
「折角だから、勿体ないから何とかしようとしても、間違いは直せますが
違うものは直せませんって」
「なるほど・・・」
「その辺ももっと聞きたいですね」

 つづく


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