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小説「イメージ4」

小説 イマージ No:69

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

 東西観光が危なくなった時、社長に頼まれて立て直しを引き受けた福賀。
今は、その時の副社長にまかせている。
総理を辞めれば又、株式会社雪月花と掛け持ちで東西観光に帰る。
今日は、今の社長が乗って来ている。
入社して一年目だった彼女が世界グルメツアーの企画を持って来た。
今では何処の観光会社も世界を対象にしたグルメツアーを持っているがその時は
何処も世界を相手にしていなかった。
福賀に助けを求めて来た時の社長の相談に乗る前にホテルのロビーで其の企画を
聞かされていた。

 会社の誰も聞いてくれないと嘆いて福賀にすがって来た新入社員の添乗員山谷
が今日は社長になって添乗員として乗って来た。
福賀が提案して出来た福寿司恒例の伊東温泉一泊旅行だ。

「マグロの握りにキャビアが乗っていたのにはビックリでした」
いつだったか福寿司で福賀が大将に薦められてカウンターの中に入り握った時の
話をしている。
「キャビアだと思ったようだね。だけど、うちの店にはキャビアは置いてない」
「え~!じゃ~あれは?」
「多分、トンブリじゃなかったかな。なっ福さん?」
大将の隣で福賀が頷いている。
その隣にフランス航空のキキが座っている。

「パリの様子は?」
福賀がキキに聞いている。
「社長が福賀さんが早く総理を辞めて戻って来てくれないかと会う度に云って
います」
バスの天井にある窓から福賀は黙って暗い空に光る星を見つめて居る。
「アラブ系の王様にもパリでお会いしました。福賀さんの事を色々気遣っていらっ
しゃいました。出来るだけ早く又会いたいと・・・」
福賀の瞳が空から降って来てキキの瞳にとまった。
「有難う。それで来てくれたのですね」

 キキと出会ったのは福賀が(株)雪月花の専務になってからの事だった。
ぶらりと伊東の温泉を見て回りたくなって山海ホテルに泊まって女将から相談を
されて何かポイントになるのモノをと考え露天ぶろ付きの部屋があると良いと提案
し、福賀が国際アートフェスティバルでグランプリを受けた作品をタべストリーに
してロビーの壁面に飾った。
其れを偶々フランスの美術家連盟のツアー客を案内して来たキキとの出会いで以後
福賀のフランス進出を助けられる事になった。

 バスは伊東温泉・山海温泉に到着。
福賀は一先ずホテル最上階の自分の部屋に入った。
キキも一緒に。

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此処には部屋付きの露天風呂が付いている。
携帯に女将から電話が掛かって来た。
「伺ってもよろしいでしょうか?」

「どうぞ」
福賀とキキは露天風呂に入って上がり、バスロープのまま居間に居た。
「失礼します。さっぱりしたスイーツとコーヒーは如何かと思いまして
伊豆の取り立てのオレンジです」
「伊豆は果物が色々出来て素晴らしいですね」
「キキさんに褒められて伊豆も喜んでいます」
女将は本当に嬉しそうだ。

「私の分も持って来てしまいました」
女将はちょっとはにかみ乍らワゴンを押して入って来た。

 あれ以来、フランス美術家連盟のツアー以来って事だ。
三人はエスパー同士で気持ちが繋がり合っている。
何時でも相手の気持ちを感じ合っている。

「福賀さん」
「解っている。気を付けるから大丈夫。君たちも油断しないように」
「はい」

 相手は3人のようだ。
福賀は下の大広間まで階段を使って降り始めた。
来た。
踊り場で対応する。
接戦は福賀のお手のモノだ。
腰を落とし左から来た相手の右腕を逆手に受けて右から来た相手の首を捻った
3人目は股間を握って気絶させた。
同行してきた秘書に携帯で連絡してエレベーターで下に降ろし人気のない所へ
運んで始末した。
後は不審に思った警察が処分してくれる。

 大広間では福寿司一行が福賀を待ちかねていた。
「総理。お待ちしていました。まだの飲んではいません」
「軽い食事を用意していただいたので食べ終わったところです」
「女将さん。例のあれお願いします」
「はい。露天大浴場男風呂30分、女風呂30分貸し切りにいたしますから
ご希望の方は貸し切り券を用意しましたので、受け取ってお待ちください」
「良かった良かった。女将さん有難うございます」

「何時も乍らいい湯でした。福さんの龍にも久し振りで会えたし云う事なし」

「でね、話は違いますが、デザインってね。私なんか古い人間ですから図案。
その方がぴったりくるんですがね。福さん専門でしょう」
「大将が聞きたいってデザインの世界ですね」
「そうなんだよ」
「そうですね。私は絵も描きますが大学ではグラフィック・デザイン専攻で
したし、(株)雪月花に求められたのもデザインの仕事でした」
「そうでしたね。そのデザインですが、アメリカのモノなんですか?」
「アメリカのモノって訳ではないですよ。ヨーロッパでも中近東でもあります。
ただ、日本には戦後アメリカ軍が駐留して図案がデザインに置き換えられたと
思われていますね。その関係で西洋の文化として服装以外の感覚的な仕事として
デザインが認識されて来たんだと思います。私が大学で学んだ時には
ラッキーストライクのパッケイジのデザインをしたレイモンド・ロイの”口紅から
機関車まで”って本が美校生にとって教科書だったそうです。吉原から通っていた
先輩が云っていました」

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「確かに、一般的にデザインと云えば服装の方だと思っているでしょうね」
「だから、洋服以外にデザインがあるって知らない人が多かった」
「そうですね。服装以外のデザインが認識されるまでには可成りの時間が掛かり
ました」
「でも、あっしのようなのが居ますから」
「大将だけじゃないよ。まだデザインはインテリア・デザインや工業そして商業
デザインと一般的にはまだ認識されていないでしょう」
「昔は図案とか挿絵とか云っていましたね」
「でも、それらがデザインだったのですね」
「大学でも昔は図案科だったのです」
「今は服飾だけがデザインではなく、生活に関係したデザインが認識されて来て
いますね」
「いっちょ寿司もデザインしてみますか?」
「イメージして作るって事です」
「それも有りですね」
「大将の粋なセンスで新しい寿司をって良いじゃないですか」

「福寿司の寿司を食べると嬉しくなる。デザインも素晴らしいものに触れると
嬉しくなる。そうであってほしいと心掛けているんですが、中々難しい」
「デザインってものも色々だって事は感じますよ。それはデザインする時の
色々な環境や条件があるからでしょうね」
「デザインをする人にもよるでしょう」
「そうですね。デザインを依頼する側も色々ですから・・・」
「予算もあるでしょうし、それによって条件も限られてくる。限られた条件の
中でより良いデザインを求められて行う」
「それを考えただけで容易ではない事が伺われます」

「依頼する人のセンスもあるでしょうし、デザインする人のセンスもあるし」
「それぞれ色々な分野で専門があるようにデザインも専門分野です。だから
夫々色々の専門分野を認め合った関係でデザインの仕事が出来れば一番良い環
境なのです」
「一番いい環境で出来ないんですか?」
「常に出来るとは限りません」
「どうして・・・何故?」
「依頼する側がデザインは自分の専門分野と違うと認識しないで自分の意向を
デザインに求めることが多いからです」
「専門は専門に任せる」
「それが中々出来ないからです」
「自分の思うようにさせようとしたい気持ちが強いからです」
「依頼者だし金を出すのだからでしょうか」
「そうですね」
「でも、そうした人ばかりではないでしょう?」
「そうですね」
「任せられる人もいるでしよう?」
「居ます。私がお世話になった(株)雪月花の社長との出会いがそれでした」
「総理が最初に出会った人ですね」
「そうです。偶然から生まれた幸運な出会いでした」

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「あれもデザイン界の事件でしたね」
「一般的には正月元旦の新聞に社名変更と化粧品部門追加そして大学卒即部長で
福賀さん入社ですから」
「衝撃的でしたね。後で解りましたが23社からオファーがあったそうですね」
「そうです。生意気です。でも其れだけ頑張って力をつけてきました」
「就職は試験って常識を破ってデザイン界初めてのスカウトでしたね」
「そうです。私はこの会社には夢があると感じていました。まだ未成熟の会社だ。
私が今まで蓄え育てて来た力を発揮できる最高の土俵だと思いました」

「月下社長が素晴らしかったですね。福賀さんが国際アート・フェスティバルで
グランプリを貰った記事をみて全てを感じ取ってスカウトしたのですから」
「その通りです。その前の偶然があっての事ですが」
「ナミカさんとその前に出会っていた」
「そうです。偶然って恐ろしいですね。ナミカから電話で月下社長とその日の昼
にお会い出来ましたから」
「その時に10項目位の条件を用意されていたとか?」
「そうです。多分、求められると思っていましたから」
「それを全部即座に受け入れた社長も凄いですね」
「私はデザインに関しては門外漢だからと仰った」
「専門は専門と解っている人だったのですね」
「そうです。嬉しかったですよ」

「入社一年目で2倍の収益を上げたと」
「そうです。私も驚きました。化粧品開発と生産そして販売のポロジェクトが
イメージ通りに薦められて収益につながったのですから。優れた才能や技術が
隠れていたのですね」
「二年目に3倍?」
「そうです。株主の皆さんから私を役員にと声をいただいて、社内の役員から
次の株主総会に私を役員として総会にだそうと思われた打診がありました」
「で、専務を希望されたのでしたね」
「そうです。決定権の無い位置ではイメージを広げられないと思ったからです」
「役員さん達は唖然とされたでしょう」
「しばらく沈黙の時が続きました」
「そうでしょう」
「様子を伺っていた月下社長が云ってくれました。良いんじゃないですかって」
「ハハハやっぱり社長ですね」

「それからですね。福寿司さんの伊東温泉一泊旅行が始まるのは・・・」
「そうです。これも偶然の閃きからです。その前に山海ホテルの女将さんとの
出会いがありましたが・・・」
「そうでしたね。総理にとって山海ホテルの女将との出会いは大きいですね」
「現実とは違うもう一つの道が隣に在るって私のイメージを形にしてくれる場所
が出来たのですからラッキーでした」

 福賀は考える。
絵でもそうだが、説明的だと見る人の想像力を働かせる楽しみを奪ってしまう。
それはお互いに美味しくない。
文章も同じような事が云えないだろうか?
説明を主とした文章。
広告のコピー(デザインの分野ではそう云う)ライトのような類は出来るだけ短い
文章で解り易い文章が求められる。
しかし、小説の場合は絵と同じように考えれば説明的でない方が良いと思う。
 福賀は色々な要素から一般的な認識の人間ではない。
今までの状況を見れば順風漫歩過ぎて、そんな訳ないだろうって感じた。
しかし、それにはそれなりの訳があるのだ。
しかし。地球の状況が極限に達しそうになると今までのような順風漫歩といった訳に
はいかなくなる。

 既に松竹梅子副総理に後を任せる段取りが出来ている。
イメージして始まった政界との関りの前半はこうして描き上がった。
そろそろ次の段階へと進んでいくだろう。

 つづく


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小説「イメージ4」

小説 イメージ No:68

 あらすじはNo:57にあります。
抜けてる部分は回毎に折り込んでまいります。


 3歳で両親を交通事故で亡くした福賀貴義は明日1週間の冬眠第1号に
なろうとしている。

「松竹副総理に全権を委任します」
「承知しました。総理は1週間人間ドックに入られる事にします」
「これは極秘事項の扱いになりますね」
「そうしてください」

 冬眠研究センターは伊豆の山奥に作られており、研究所関係者以外には
場所を知られていない。
冬眠については可成りの確実性が保証されているが万が一と云う事も懸念
されるから可成りの冒険と云える。

「総理は人間ドックに入られたそうですがどこの病院ですか?」
「それは総理から知らさないようにと云われています」
「可笑しいじゃないですか。いつもオープンな福賀さんが秘密にするとは」
「そうですね。でも福賀総理が極秘にしてほしいと云われましたので」
「出てこられたら福賀流じゃないって云っといてください」
「解りました。伝えておきます」

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「国民は総理がどうしたのか心配しています」
「当然です」
「だったら教えてくださいよ」
「総理は人間ドックに入られて1週間休養されていますと知らせています」
「それ以上の事は無いのですか?」
「変わったことがない限り、ありません」

「そうですか。確かに今までの過程でお疲れの事は国民は解っています」
「有難うございます。どこも悪いところは無いと聞いています。念のため」
「此れからの激務のためでもあるのでしょうか」
「そうだと思います」
「解りました。1週間たったら又伺う事にします」

 1週間はあっと云う間だ。
「みなさんご心配をお掛けしましたが無事帰って来ました」
「お帰りなさい。総理ご気分は如何ですか?」
「いや~爽快です。今までより一段と進化した感じがします」
「それは良かったです。初めての試みでしたから心配でした」
「未だ未だ研究の余地はありますが、人間も動物。生き物であることが立証
されたと云っていいでしょう」

「冬眠が人間に可能になった証明をなさった上で必要なことは何か?」
「そうですね。冬眠前に充分な栄養補給が必要だって事でしょうか」
「なるほど。総理はその点いかがでしたか?」
「出来る限りの努力をして蓄えました。研究員の助言もありましたが」
「例えば・・・?」
「カロリーの高いものと高いタンパク質のものや油分ですね」

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「動物が冬眠に入るために多くの栄養分を蓄える必要がある訳でしね」
「その通りです。だから自然を大切にしなければいけないのです」
「自然を粗末にして変動していくと生き物は死んでしまいます」
「そうです。草も花も木も鳥も昆虫も魚も動物も人間も生きられません」
「持続性のある栄養分って何でしょう?」
「それは栄養学の領域ですね」
「学問も大事。そして自然を守る事も大事」
「大事なことが一杯ありますね」

「総理は武道で鍛えていらっしゃるので一般の我々とは同じに出来ません」
「それにしたも、栄養を充分に取る方法を行えば違いを持ちながらも可能性
は大いにありです」
「兎に角、何れにしても自然ですね。自然次第です」
「自然を守る。自然を大事にする。自然の恩恵に感謝する」

 雲ですって云うのも可笑しいけど私は雲です。
福賀貴義とは何時も話をしてます。
お帰りって感じですかね。
初めて人間の冬眠に挑戦しましたね。

「雲さん。帰って来ましたよ」
「無事でなによりです。良かった良かった」
「雲さんのお陰ですよ。何時も見守ってもらっていますから」
「いや、自然を大事に思ってくれているからですよ」
「自然から生まれた人間ですから大事に思うのは当たり前の事です」
「でも、便利さを必要以上に欲しがって自然の恩恵を忘れているね」
「それが心配です。何とかしなければと思っています」

「生き物は水が大事、空気が大事、食べ物が大事。解っている筈ですが
解っていながら忘れている」
「科学も良いけど温かい心が更に大事ですよ」
「そうなんです。どんどんアンバランスになって行く心配が大きいです」
「生き物同士。生きて行けなくなったら終わりですよ」
「終わらない為に自然大事派を増やして行きたいです」
「不自由でない人が便利さを求め過ぎていませんか?」
「はい。求め過ぎていると思います。既に危険な領域に入っています」

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「段々と自然次第が人間次第になって来ましたね」
「申し訳ありません。よりよい環境づくりを頑張ります」
いつの間にか雲は消えて抜けるような青空が広がっていた。
「は~ぁ」
福賀は大きなため息をはいた。
「さ!頑張りましょう。不自由なモノが少しでも楽になるように」

「総理。どちらにお出掛けでしたか?」
記者たちは福賀の事が気になって仕方がないらしい。
「ちょっと此処まで」
「其処ってどこですか?」
「其処って其処ですよ」
「ケチらないで教えてくださいよ」
「う~んと、伊豆」
「伊豆のどこです?」
「伊東」
「まさか山海ホテルでは?」
「当たり」

「山海ホテルに1週間も泊まっていたんですか?」
「いけませんか?」
「いけないとは云っていませんが、何してたんですか?」
「命の洗濯」
さすがに記者たちも聞く気を失ってしまった。
「お大事になさってください」
「有難う」

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「ところで伺いますが、以前、山上元総理の時は総理は内にいて福賀副総理
が外に出ていましたが、今回は総理が外に出て副総理が中に居て政をされてる」
「そうですね。違う形を取りました。暫くですが、でも近い将来には副総理に
外に出かけて世界の国々と嫌われない日本で働いていただこうと思っています」
「衆議院議員の任期が4年ですね」
「そうですね。何処まで続くか解りませんが、2年は副総理が内で私が外でと
考えています」
「総理が外で何を?」
「世界の中の日本にとってよりよい環境づくりでしょう」
「どんな形で?」
「外務省のメンバーと一緒に世界の国々の違いについて勉強です」
「それぞれの違いを知るためですか?」
「そうです。それぞれ違いを持ち合っていますから」
「何時も総理が仰っている。違いを知って関わり方を考える」
「そうです。自分と同じだと思うと解るものも解らなくなりますからね」
「総理外交ですか?」

「基本的に人は一人では生きられません。周りの人たちに支えられて生き
ていますね。国も周りの国に支えられていると考えています」
「それは解ります。でも危険ではありませんか?」
「身の危険ですか?」
「そうです」
「それはありますね。安全は常に保障されていません」
「仕方ないと?」
「そうです。危険は山上さんに手伝いを頼まれた時に覚悟しました」
「総理の福賀さんが狙われるとしたら何からだと思われますか?」

「そうですね。力で人を支配したがるモノからだと思います」
「あとは?」
「金で人を縛りたがる人間でしょうか」
福賀が懸念している事が近くに迫っている。
ひたひたと・・・。

 つづく


 
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小説「イメージ4」

小説 イメージ No:67

 あらすじはNo:57にあります。
抜けている部分は回毎に折り込んで行きたいと思っています。


 自分を狙っていると考えられる相手は、身近では自分党の元最大派閥
の面々が思い当たるが違う感じを福賀は受けている。
何かアメリカの匂いを感じるのだ。
CIA?
そんな感じが前と後ろから迫ってくる。

「よし、前に回って路肩で対応しよう」
思った瞬間に福賀の車は前のバイクを抜いて走っていた。
程よい先に路肩を見つけ車を寄せて降りた。
前を走っていた車と後ろから着けて来たバイクが止まった。
拳銃を使われては不味い。

 彼らの目的は解っている。
福賀は素早く気を放った。
相手は動きを止められて固まった。
バイクに暫く乗れないようにして置かなければならない。
二人の両腕と両足の関節を外した。
通りがかりの車に怪しまれないように姿勢を作り其の場を離れ一路
伊東温泉・山海ホテルへと車を走らせる。

「あの車は福さんじゃないか?」
「そのようですね」
「何処で抜かれたんだろう?」
「全く気が付きませんでした」
「今、変なニュースが入りました」
「何だって?」
「東名高速道路の路肩にバイク2台と両腕と両足の関節を外され気絶し
ている外人男性二人が発見されたそうです」

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「誰がやったか解るよ。おいらには」
「私もなんとなく解ります」
「でも無事で良かったですね」
「此の事は本人には聞かないでおこうぜ」
「何しろ合気道九段・少林拳師範・気功術師だし」
「そうですよ。飛び道具には敵わないでしょうけど、接近戦では向かう
所敵なしでしょう」
「それは本人が良く解っているから心配ない」

「今度の所信表明に在りましたね。ミサイルを打って来たらUターンを
させる方法を研究するチームを準備していると」
「良いね。そうした何処にも無い研究をカードにすると良いね」
「そうですよ。切れる有効なカードをたくさん持たなければ」
「よりよい環境づくりですね」
「そうそう。良い事って何だって事ですね」
「福さんってハイテクじゃなくてアナログだと思ってんだけど意外とね。
コンピューターに強いらしい」
「そうですね。自然派だと思いますが、科学にも理解があって頼りにして
いますね」
「文化と科学のバランスを考えていらっしゃる」

「そうですね。何しろ色々な事を吸収する力は物凄いです」
「あの力は何処から湧いてくるんでしょう?」
「多分、3歳で両親を交通事故で無くした事に起因してるんじゃないかと
思っているんだが」
「金銭的な財産は無いから親から授かった無形の財産を資産にして出来る
限り生かして増やそうとしてる」
「中々そう云う具合には行きませんがね。福さんみたいな人間は珍しい」

「そうですね。引き取った後、合気道を教えた叔父さんも偉いです」
「日本の武道で精神を良い方向に鍛えた」
「ニックネームで福賀専務って我々は呼んでいますが実に親しみ易いです」
「そんな性格ってご両親の無形財産なんでしょうか?」
「そうかも知れないな」
「でも、そうだとばかりは云えないと思いますよ」
「そうだな。親のせいにしてばかりじゃいけないな」
「何がどうして良かったり悪かったりするんでしょうかね」
「何か哲学的になって来たな」

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「大将。哲学してませんか。味覚の世界で」
「おいとけ!おいらそんな難しい事やってねえよ」
「またまた」
どっと車内が笑い声で沸いた。
そしてバスは伊東温泉・山海ホテルに到着。

「ようこそ福寿司ご一行様。山海ホテルにお越しくださいました。あの方は
先ほどお着きになりました。先ずは皆さん大広間の方にご案内させていただ
きます」
「もうあの方は手が付けられないヤンチャで突然のご希望でご迷惑を掛けて
申し訳ありません」
「とんでもありません。それがあの方の良いところでしょう。何時もハプニ
ングあんどサプライズで楽しませていただいてます」

 福寿司の客も福賀大好き人間ばかりだから二人の掛け合いをニコニコして
聞いている。
「あの方があれをお辞めになって来られた時はマスコミの方がお出でになっ
ていてダメでしたが今日は大丈夫です。大浴場露天風呂を男風呂と女風呂そ
れぞれ30分福寿司さま恒例の貸し切りにさせていただきます」
「やった~!」
「わ~っ」
控えめだけど大きな拍手と歓声が上がった。
手際よく女将が部屋割りをして、貸し切り券を希望者に配り、本日の福寿司
一泊温泉旅行の大イベントが始まった。

 先ずは男湯大浴場露天風呂から始まった。
福賀が付き合うのは10分程だが龍が温泉で泳ぐ図を恰も別世界に来たよう
な感じになって皆それぞれ固唾を呑んで見つめてた。
この時間を共有するのが堪らなく嬉しいのだ。
福賀が上がって行くと詰めていた息をいっせいに吐き出し元に戻った。
「凄い!」
「いつ拝見しても凄いです」
「いや~ぁ素晴らしい」
「隠すって良いもんですね」
「刺青とタトウ。それぞれ意味があるんでしょうが。私は隠してる刺青の方
が凄いと思うし、素晴らしいと感じます」

 大浴場露天風呂女風呂の入り口には貸し切りの看板が立っていて、係の女
性が対応しており中に連絡をする。
「まもなく福賀様がいらっしゃいます。湯船に入ってお待ちください」
何度かの人も居れば初めての人も居る。
みんな湯船の淵に背をもたせて並びながら福賀を待つ。

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「失礼します」
入って来た。
掛け湯をしている音が聞こえる。
歩いて来る足音だ。
湯船の淵を右に回った。
みんな目を閉じて見ていない。
内閣総理大臣が今、同じ温泉に入って来た。
多分きっと裸だろうって当たり前だろう。
裸だったら総理だって関係なく同じ人間同士だ。
だけど違うのは女じゃなくて男だって事。
そうだ、男女機会均等だ。
だけど違うのは背中に龍の彫り物がある事。

 それは解って居るけど、どんなモノか見たことがない。
「みなさん。見たくなければ目を閉じていてください。私の背中の龍が泳ぎ
ます」
福賀が云うと同時に湯面が揺れた。
思わず其の衝動で目を開いた夫々の前に波打って龍が泳ぎ、散った桜の花弁
がうっすらと赤みに染まっていた。
何て事だろう。
此処は何処?私は誰?
此れは時代劇のパロディなのか?
男女機会均等だけど・・・違い合っている事を無視は出来ない。
夫々の違いとどう向き合うか、そしてどんな関り方をして行くかだ。
福賀は明日、冬眠の経験が待っている。


つづく

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小説「イメージ4」

小説 イメージ No:66

 あらすじはNo:57にあります。
抜けている部分は回毎に折り込んでまいります。

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 小さな海岸の夏になると家族ずれや若者たちで賑わう町で叔父夫婦に
育てられた3歳で両親を交通事故にあい亡くした福賀は友人に頼まれ1
日だけ海の家を手伝った事があった。

 その時にたまたま友人と一緒に海水浴に来ていたナミカに逢い、後に
株式会社雪月花入社に繋がって専務になり、3年目に結婚してパリに旅
行した二日目に自分党の総裁候補の岩上から手伝いを頼まれ副総裁を条
件に承知する。

 二人の共通した理念”よりよい環境づくり”を元に働き可成りの業績を
上げるも岩上の度重なる心筋梗塞による辞職で手伝う身の福賀は共に辞
し元の職に戻るが野党第一党「みんなの党」党首大海から新しい党作り
を誘われ新党「和」の党長になり副党長に松竹梅子を置き総選挙に挑み
勝利して内閣総理大臣になり、今、初めて自分の所信表明を行っている。

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 議場内は勿論だが、場外ではテレビの前に以前よりも多くの人たちが
固唾を呑んであの時の感動を再びと集まっているに違いない。
手に何も持たないのは前回の代理演説の時と同じだ。
今回違うのは何も持たない手と指を使って耳で聞けない人たちに対して
話をしている事だ。

 世界共通でないのが悲しい現在の手話だが今は仕方がない。
福賀もそう思っているが今の時点で人間同士として共通でありたい気持
ちは此処までしか表現出来ない。
議員の後ろに居る自分と同じ国民の多くの人に伝えたいと願って今まで
手話を習ってきた福賀だ。
今、その成果が問われている。

 相方のナミカは自分が立ち上げたNPOで、福賀は雪月花以来の先生に
習い家に居る時はナミカと手話で話し合って来た。
内容は”よりよい環境づくり”を以前に増して充実させていた。
総論・各論・具体策を20分の休憩を挟んで2時間を熱い気持ちで語り
切った。

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「福さん。大した者だ。同じ事は二度としないね、本当に天晴だ」
福賀が行きつけの銀座・福寿司はこの時を待っていた客で満席状態になっ
ている。
そんなに広い店ではないから45人で満席。
大将が泣いている。
女将は後ろ向きで肩を震わせている。

「何て事をしてくれたんだろう。前回と同じで上等だと思ってましたよ」
お客だって感動で胸を詰まらせている。
「もう、有難うとしか言えません」
「うちらの福賀さんだもんね。誰よりも嬉しくて堪りません」
それぞれが目頭を押さえている。

 あの時はって云ってもつい先ほどの事だが、手話を使った所信表明演説
が終わっても議場は暫くは静寂な時が流れ誰もが呼吸さえ忘れて仕舞った
のではないかと思った。
野党席の一人が立ち上がって拍手をすると気が付いたように一人また一人と
立ち上がり与党と野党双方の議員が全員立ち上がりスタンディングオベレー
ションが前回より長く続いて鳴りやまなかった。

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 その拍手は議事堂を越えて日本の北から南まで感動の塊になって広がって
いった。
何処に居てもこの感動に逢いたいとテレビのある所に集まったに違いない。
そして世界で初めての手話入りの総理大臣所信表明演説は地球を駆け巡った。

「まさかこの様な演説になるとは誰も思いもしなかったにちげえねえ」
「まさに、福賀さんじゃなくちゃって、つくづく感じました」
「この手があったかって今にしてみれば思うけど、やられて初めて思うので
あって、思っていなければ出来ないことですね」
「本当だよ。福さんがしてくれている事は後で気が付くけど思ってない者に
は、思いもつかない事ばかりだ」
「全くです。また出来る人だから出来るんで、それもイメージなんでしょう
ね」
「でも、今まで出来る立場に居ても出来なかった事って多くないですか?」
「そうだね。やれば出来るのに、やらない人って多いよね」
「福さんみたいにさ、出来る立場に居る人はどんどんやってほしいよな」
「戦争以外ですがね」

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「その点、我らの福賀専務、うち等だけのニックネームだから福賀専務で良い
でしょう。”よりよい環境づくり”どう発展していくか楽しみです」
「テレビのニュース凄いですよ。アナウンサー興奮してます」
「そりゃあ興奮するでしょう。あの演説で冷静でいられないでしょう」
「福賀総理大臣が居なくなったらしいですよ」
「必死に探していますって」
「これ又、事件ですね」

「大将。ご無沙汰」
「誰か入ってきましたよ」
「テレビで探してる人みたいですよ」
「え~ぇ!今取り込み中なんだけど」
「そんな冷たい事云わないで大将!」
「ひや~ぁ。出ましたね」
「そんな。幽霊みたいに云わないでください」
「だってあそこ(テレビ)に居る人が此処に現れたら」
「これでも自分の車持ってますからひとっ飛びです」

「テレビで必死になって探してるよ」
「知ってます。探して私を捕まえるのが彼方の仕事ですから」
「良いんですか?」
「良いんです。云いたい事は云って来たし、やる事やってきたしね」
「それはそうだけど。良いんですか」
「良いんです。私が来たんで行きましょう」
「解りました。福さんにはかないません」

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 後は大将と女将の阿吽の呼吸で事が運ばれていく。
「本当に良いんですね」
「本当に良いんです。温泉で一汗流したいです」
「何か握りますか?」
「そうですね。やっぱり大将にお任せします」
女将が嬉しくて仕方がないって感じでお茶と久保田の萬壽を福賀に。
「って訳で皆さん解ってるね。いつものアレ行きます。内緒だよ」
今夜こそ誰も行けない客は皆無。
総理と一緒は伏せて誰もが必死で連絡相手の了解を取り付けて全員参加。

 そうこうしているうちにバスが到着の知らせが来る。

「お久し振りです」
「無理を言って申し訳ない」
「何時もの事で・・・」
「運転は車常務です」
「私は自分の車でついて行って途中で抜いて先に行きます」
「解りました。気配りしながら行きますからご安心を・・・」
「有難う」

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「内緒ですよ。こないだはマスコミ関係者が居るとホテルからの情報で
皆さんと一緒に温泉に入れませんでしたが今夜は大丈夫みたいです」
「お前さん、両方OKですよ」

 東西観光のバスに添乗員の案内で乗り込み開始。

「では、皆さんお客さんから順番に乗ってください」
「福さんは?」
「ご自分の車で行かれるそうです」
「ハハハお忍びなんだな今夜は」

 福賀は議事堂を抜け出す時から不穏な気配を感じていた。

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 つづく
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小説「イメージ4

イメージ No:65

 あらすじはNo:57にあります。
抜けている部分は回毎に折り込んでいきます。
 
 誰でも福賀が何をして来たか解っている。
そして、未だやり残している事が何かも知っている。
前総理の岩上も前副総理の福賀も居なくなった自分党がどんなものか解っている。

 福賀は以前から人間が冬眠出来たら疎外されて弱っている地球の滅亡を防げると
思っており、研究チームを立ち上げて其の成果を期待している。
既に可成りの成果を上げており、難病などの治療に有効だと報告があった。
完成したら冬眠人間第1号になる事を決めている。

 其れはそれ、今の福賀は立候補者の応援演説はせず専ら副党長の松竹に任せ自分
は立候補者が居る土地のお祭りに参加して踊りまくっている。
時季外れだが何故か8月に在る筈の郡上祭りが岐阜で行われていてその踊りの中に
福賀が居た。

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 そして其の後は富山でおわら風の盆が9月の筈が6月に行われており、その中
に福賀が居た。
夫々一日だけではあるが、福賀を呼ぶように祭りを行って待っているようだ。
解り合えるのは心と心で今更言葉で伝え合う必要を感じていない。

 衆議院議員の定数は465名、参議院議員の定数は248人。
マスコミが情報として仕入れた新党「和」の其れ其れの立候補者数はいささかオー
バーに伝わっていたようで実際は衆議院議員の立候補者300名で内200名が女
性、参議院議員の立候補者は200名で内100名が女性。
替わることを余り好まない国民性を考えると福賀のイメージ通りには行かないだろ
うと思われていた。

 しかし”よりよい環境づくり”の続きに期待する気持ちが多かったのか新党「和」
は他の勢力を寄せ付けずに圧倒的な勝利を得て各院内で第1党として充分な議席数
を獲得して本会議の日がやってきた。
何人かの総理立候補者が立ったが当然の事として福賀貴義が内閣総理大臣に選出
された。

 議会運営を速やかに行うべく、次回の国会は二日後に行われることになった。
5年前の総理の所信表明演説を代行した福賀の原稿無し2時間の総論・各論・具
体策演説を多くの人が覚えているに違いない。

 二日後にあの時の感動を又しても受けられるのではないかと楽しみにされてい
るが、福賀はどうしているのだろう。

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 銀座の福寿司では二日後の総理所信表明演説の話題で盛り上がっている。
「大将!二日後だってね。随分と早くないですか?」
「そうだね。前は1週間はあったよな」
「大丈夫ですかね。福賀専務さんの事だからうち等が心配することは無いと思う
けど」
福寿司では福賀貴義は株式会社雪月花の専務が通り名になっている。
「前に当日でやってのけた経験があるから二日あればどうって事ないだろうよ」
「何しろ我らの専務さんが総理大臣で演説するんだから嬉しいじゃありませんか」
「部長が専務にそして副総理に今度は総理だよ」
「なんて人なんだろう」

「こんな人でこんばんは」
「え~ぇ 来ちゃったよ」
「大将。暫くでした」
「う~ん。何て答えて良いんだか。お疲れ様です」

「おかみさん。済みません。お茶とお酒をお願いします」
「よくま~いらっしゃいました。久保田の萬壽すぐお持ちします」
「大将。例のあれ良いでしょう」
「良いんですか?」
「良いですよ」
「女将!暖簾しまって」
「あいよ」
「皆さん突然ですが此れから店の温泉一泊旅行になりました。解っていますね。
皆さんを信用している人が此処に居ます。行ける人はそれなりに。行けない人は
次の機会にご一緒と云う事でよろしく」
大将の一声が店の中の空気を一変した。

「え~。何故今日なんですか?」
「申し訳ない。この次埋め合わせしますから」
「ラッキーついてるね。今日来て良かった」

「バスが来るまでちょっと何か握ってくれますか大将。お任せで」
「あいよ。明後日だって云うのに良く来てくれた福さんおいら嬉しいよ」
「いや~此処に着て温泉が一番ほっとするんでつい来てしまう」

「どうしたら良いんですか?私行けるんですが」
「女将。面倒見てあげて」
「おうちに事情を電話して了解を取ってください。急に福寿司の旅行について
行くことになりましたって。総理の事は伏せてください。良いですね」
「何でだって云っています」
女将が変わって大将の気まぐれで費用はいりませんのでご心配ありませんと
取りなしている。

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 そうこうしてると東西観光のバスが着きましたと添乗員が知らせに来る。
今は副社長になっている山谷が添乗員として乗ってきた。
運転は部長から取締役になった車が運転して来た。
福賀は立候補するまでは東西観光の社長だったのだ。

「お疲れ様です」
「突然無理をお願いして申し訳ない」
「何時ものことで驚きません」
「そうでしたね」
「車が運転してきました」
「そう」

 いつもの様にSAでトイレ休憩をして一路、伊東温泉・山海ホテルへ車は絶妙な
感じで走り続けた。

「ようこそ山海ホテルにお越しくださいました。先ずは大広間の方にご案内させて
いただきます。今日は何時もと違って貸し切りが出来ません。マスコミ関係のお客
さまが大勢さんおいででして・・・申し訳ありません」

「そうですか。それは残念だけど仕方がありません。道中一緒だっただけで十分と
します」

 福賀は山海ホテルの最上階にある自分の部屋に入って女将を呼んだ。
「お世話になります女将さん。此処の来るとほっとします」
「福賀さんがリニューアル・デザインをしてくださったからでしょう」
「それだけではない。何か別の感じがそうさせているのです」
「そうでしょうか。私は自分で此処に居ると本当に気が休まります」
「お互いに同じ気持ちなのかも知れない」
「そうだと思います。何をお持ちしましょう」
「ワインを飲みたい気分です」
「畏まりました。お湯ご一緒よろしいでしょうか」
「どうぞ」

 そして二日後のその時がやってきた。
恐らく全国のテレビの前には固唾を飲んで見つめて居る人たちが居るだろう。
あの時の感動を再び味わいたいと思いながら。

「福賀総理大臣どうぞ」
議場はしんと静まり返っている。
男女半々の大臣席の中から福賀が立ち上がって歩いてくる。
あの時と同じだ。
手には何も待っていない。
議長に挨拶をして演壇に登って深々と頭を下げてお辞儀をした。
さて・・
何だ何だ手と指を使って話し出した。
手話だ。

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手で見る学習絵本「テルミ」243号から

つづく


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