小説「イメージ4」No:90
イメージ No:90
初めに・・・
芸大受験の時から、そして合格者発表も一緒に見てかつ丼を食べて喜び合っ
た親友が立ち上げた「白組」の山崎貴監督作品は【ジュブナイル】から【黄泉
の国からDESTINY鎌倉ものがたり」そして【ALWAYS三丁目の夕日」そして今
日【ゴジラー1,/C」を観て来ました。あのフランス映画【太陽がいっぱい】の
ラストシーンの時にぞっとした感覚をトップシーンに感じさせられて始まって
冷血漢の私を涙ぐませてくれた。有難うそしておめでとう。
楽しみ
色々な違いを持ちながら其れなりの楽しみを持ち合いたい。
目が見えても目が見えなくても、音が聴こえても聴こえなくても。
「身体が動いても動かなくても、楽しみ合えたら良い。そんな事を簡単に云うな
と叱られるに違いないが・・・。私もナミカも楽しみ合う方法を考えて行動して
来た」
思ったらイメージして形にする。
これが3歳で両親を交通事故で無くした福賀だ。
「それは勿論。簡単な作業ではありませんが、物事全て絶対も完全も無いとして
考えて出来るところまでやって見る」
「見える人の楽しみもあれば、其れとは違う見えない人の楽しみもあるって云い
たいんでしょう福さんは」
「大将は解りが早い。その通りです」
45年前に点字の方法を使って作った作品
「まぁね。福さんとはツーカーの間柄だからね」
「私も大将の様になりたいです」
店の客が云ってくる。
「そんだったら。そうだね。もう少し福寿司に通ってくれると良いかも」
「通います通います頑張って通います」
店の中にどっと笑いが起こった。
「福さんに言わせえると私はエスパーだってよ」
「私もフクガセンムのエスパーになりたいです」
女性の客が割って入る。
次々に福賀のエスパー志望の声があがる。
「それも努力次第かな」
「大将。変な期待を持たせちゃ罪ですよ」
「まぁそう云ってしまったら夢も希望もなくなっちゃうから」
「フクガセンムのエスパーって大将以外にも居るんですか?」
「それは云ってはいけない事になっているんで。申し訳ない」
「フクガセンムの前だから?」
「いや前でも後ろでもなくて云えないんだ。知らないから」
「何だ。大将は他のエスパー知らないのか」
「実は知らないんだよ」
「フウガセンム。直に伺いますが今のところ何人ぐらい居るんですか?」
「せめて数くらい教えてくださいよ」
「そうですね。そんなに多くないです。9人ですね」
「へ~ぇ。9人もですか」
「エスパーって聞いた事あります。言葉にしなくても思ってる事が伝わるって」
「本当ですか?」
「そうですね。当たらずとも遠からずです」
福賀が真面目に答えたので聞きたい事がある程度聞けて納得出来たようだ。
ペイントで描きました。
「今日はフクガセンムの奥様が参加されていますが・・・」
「前々回に山海ホテルの入り口まで来て東京にとんぼ返りでしたから今日は中に
入ってもらおうと来てもらいました」
「入り口から中に入って福寿司恒例の温泉一泊旅行の続きになりますね。福さん
いつもの通りで良いんですか?」
大将が聞いて来る。
他の連中もそこのところが聞きたいところだ。
「いつも通りでよろしく」
わ~っと歓声が上がった。
福賀は隣のナミカを見やって頷き合った。
今日はいつもの時間より早い。
東西観光の添乗員、今は福賀社長の片腕で副社長がバスの到着を知らせに来た。
常連の客とその連れから先に奥の方に乗るようにして次に大将と女将と店の人た
ち、そして運転席の後ろ添乗員席の後の窓際に福賀、通路側にナミカが座った。
運転は動いているか止まっているか解らない福賀仕込みのドライビングを心得た
車好人で元車両部係長だが今は取締役だ。
「私は福さんが総理になって所信表明演説で手話を使うのを見せてもらいました
けど、ナミカさんも手話を使えるんですか?」
「はい。私は私で手話と点字の先生に教えていただいています」
「そうでしたか。福さんが国会で初めて手話を使って演説された時はどんな感じ
でしたか」
「始めた時はビックリして、其れからどきどきし通しでした」
「前に予告は無かったのですか?」
「ありませんでした」
ペイントで描きました。
「福さん。あれは考えていた事じゃなかったんか?」
「考えてなかったですね」
「それじゃあ、あれは本当のパフォーマンスだったんだ」
「そうです。議長に呼ばれ演壇に向かった時に耳が不自由な人が気持ちの中に浮
かんで、そうだ其の人たちにも伝えなければと思ったんです」
「やっぱり福さんは変な人だ。そんな人何処探してもあんたしか居ませんよ」
「大将。手話で話そうと決めて居たらその時から意識しちゃって色々考えて緊張
しまくって固くなってしまいます」
「って事は、手話を使うのはあの時に決めた?」
「そうです。手話は日常、ナミカと使っていましたから」
「なるほど。それで下地が出来ていたって訳だね」
「それは我々には解りませんでしたからビックリしました」
「大体ね。原稿無しでやる人なんて今まで誰も居なかったんだから。それだけで
も驚きだった。其のうえ手話まで使ったら其れは奇跡としか云いようがない」
「耳が不自由で聞くことが出来ない人たちは初めて私たちも仲間に入れてもらえ
たと喜んでいましたね」
「私も嬉しかったです。手話通訳を付ける方法はありますが、とっさの思い付き
ですし、人を介さず本人から直接が良いですよね」
「それは当たり前だよ」
「そうなんです。当たり前の事が当たり前に行われていますか?いないでしょう」
「そうだな。云われてみれば当たり前の事だ」
「当てり前の事としてやった驚きは世界中に伝わったでしょう」
「伝わったね。月下さんが敏感に感じ取ったように感じた人がフランスにも居た」
「そう。フランス航空の社長」
「福さんを副社長にって」
ペイントで描きました。
「以前からフランスに縁があって繋がっていまいしたが・・・」
「フランス航空のキキさんも云ってましたね。早く総理大臣止めて来てほいいと
社長が何時も云ってると」
「フランス航空の副社長ってどんな仕事をするんですか?」
「主にですが、東洋圏と中近東圏を担当して、各国の主な人と交流を深めて会社
の発展に役立たせる仕事です」
「凄いですね。それもフクガセンムの魅力が認められて望まれたのでしょう」
「実際のところ日本文化の紹介や中国やアラブ系との文化交流です」
「それって外交官みたいですね」
「実はそれが私の主な仕事です。勉強でもあるし、日本の外交官たちを紹介する
役割を担っています」
「色々な国や人の違いを学んで関わる大切さって福さんの持論だからね」
「そうです。違いを知る事はとても大事です」
ペイントで描きました。
「お待ちしていました。ようこそ福寿司ご一行様。まあ、ナミカさん。お父様ご
無事で良かったです。先日、お見えになって大変お元気でほっとしました」
「父が先日は大変お世話になりまして有難うございます。また今日は私が改めて
お世話になります。よろしくお願いいたします」
「どうぞ今度こそごゆっくりなさってください」
「フクガセンムさん。今日は如何なさいますか?」
「今日は初めに私の部屋に案内して、其れから皆さんと一緒に福寿司さん恒例の
貸し切り大浴場露天風呂と宴会場で例のおさらいを」
「了解です。専属バンドをスタンバイですね」
「よろしく」
ペイントで描きました。
「ナミカ。私が家にも会社にも居ない時は此処に居て海外と交信してるんだ」
「そうでしたか。家とは違った異次元のアトリエって感じ。素晴らしいです」
「温泉露天風呂も付いているんだよ」
「ちょっと行ってみて良い?」
「どうぞ」
「暗くなって来て遠くに光っているのは漁火かしら?」
「そう。烏賊を釣る船だね」
「貴義が此処でトムソーヤのような秘密の世界が必要なのね」
「ま~ね。そんなところだね」
「メールが入ったみたいよ」
「ちょっとメールをチェック。アラブ系の王国の王子からだ。国王が私を呼んで
いるようだ。一緒に行ってみるか?」
ペイントで描きました。
つづく
初めに・・・
芸大受験の時から、そして合格者発表も一緒に見てかつ丼を食べて喜び合っ
た親友が立ち上げた「白組」の山崎貴監督作品は【ジュブナイル】から【黄泉
の国からDESTINY鎌倉ものがたり」そして【ALWAYS三丁目の夕日」そして今
日【ゴジラー1,/C」を観て来ました。あのフランス映画【太陽がいっぱい】の
ラストシーンの時にぞっとした感覚をトップシーンに感じさせられて始まって
冷血漢の私を涙ぐませてくれた。有難うそしておめでとう。
楽しみ
色々な違いを持ちながら其れなりの楽しみを持ち合いたい。
目が見えても目が見えなくても、音が聴こえても聴こえなくても。
「身体が動いても動かなくても、楽しみ合えたら良い。そんな事を簡単に云うな
と叱られるに違いないが・・・。私もナミカも楽しみ合う方法を考えて行動して
来た」
思ったらイメージして形にする。
これが3歳で両親を交通事故で無くした福賀だ。
「それは勿論。簡単な作業ではありませんが、物事全て絶対も完全も無いとして
考えて出来るところまでやって見る」
「見える人の楽しみもあれば、其れとは違う見えない人の楽しみもあるって云い
たいんでしょう福さんは」
「大将は解りが早い。その通りです」
45年前に点字の方法を使って作った作品
「まぁね。福さんとはツーカーの間柄だからね」
「私も大将の様になりたいです」
店の客が云ってくる。
「そんだったら。そうだね。もう少し福寿司に通ってくれると良いかも」
「通います通います頑張って通います」
店の中にどっと笑いが起こった。
「福さんに言わせえると私はエスパーだってよ」
「私もフクガセンムのエスパーになりたいです」
女性の客が割って入る。
次々に福賀のエスパー志望の声があがる。
「それも努力次第かな」
「大将。変な期待を持たせちゃ罪ですよ」
「まぁそう云ってしまったら夢も希望もなくなっちゃうから」
「フクガセンムのエスパーって大将以外にも居るんですか?」
「それは云ってはいけない事になっているんで。申し訳ない」
「フクガセンムの前だから?」
「いや前でも後ろでもなくて云えないんだ。知らないから」
「何だ。大将は他のエスパー知らないのか」
「実は知らないんだよ」
「フウガセンム。直に伺いますが今のところ何人ぐらい居るんですか?」
「せめて数くらい教えてくださいよ」
「そうですね。そんなに多くないです。9人ですね」
「へ~ぇ。9人もですか」
「エスパーって聞いた事あります。言葉にしなくても思ってる事が伝わるって」
「本当ですか?」
「そうですね。当たらずとも遠からずです」
福賀が真面目に答えたので聞きたい事がある程度聞けて納得出来たようだ。
ペイントで描きました。
「今日はフクガセンムの奥様が参加されていますが・・・」
「前々回に山海ホテルの入り口まで来て東京にとんぼ返りでしたから今日は中に
入ってもらおうと来てもらいました」
「入り口から中に入って福寿司恒例の温泉一泊旅行の続きになりますね。福さん
いつもの通りで良いんですか?」
大将が聞いて来る。
他の連中もそこのところが聞きたいところだ。
「いつも通りでよろしく」
わ~っと歓声が上がった。
福賀は隣のナミカを見やって頷き合った。
今日はいつもの時間より早い。
東西観光の添乗員、今は福賀社長の片腕で副社長がバスの到着を知らせに来た。
常連の客とその連れから先に奥の方に乗るようにして次に大将と女将と店の人た
ち、そして運転席の後ろ添乗員席の後の窓際に福賀、通路側にナミカが座った。
運転は動いているか止まっているか解らない福賀仕込みのドライビングを心得た
車好人で元車両部係長だが今は取締役だ。
「私は福さんが総理になって所信表明演説で手話を使うのを見せてもらいました
けど、ナミカさんも手話を使えるんですか?」
「はい。私は私で手話と点字の先生に教えていただいています」
「そうでしたか。福さんが国会で初めて手話を使って演説された時はどんな感じ
でしたか」
「始めた時はビックリして、其れからどきどきし通しでした」
「前に予告は無かったのですか?」
「ありませんでした」
ペイントで描きました。
「福さん。あれは考えていた事じゃなかったんか?」
「考えてなかったですね」
「それじゃあ、あれは本当のパフォーマンスだったんだ」
「そうです。議長に呼ばれ演壇に向かった時に耳が不自由な人が気持ちの中に浮
かんで、そうだ其の人たちにも伝えなければと思ったんです」
「やっぱり福さんは変な人だ。そんな人何処探してもあんたしか居ませんよ」
「大将。手話で話そうと決めて居たらその時から意識しちゃって色々考えて緊張
しまくって固くなってしまいます」
「って事は、手話を使うのはあの時に決めた?」
「そうです。手話は日常、ナミカと使っていましたから」
「なるほど。それで下地が出来ていたって訳だね」
「それは我々には解りませんでしたからビックリしました」
「大体ね。原稿無しでやる人なんて今まで誰も居なかったんだから。それだけで
も驚きだった。其のうえ手話まで使ったら其れは奇跡としか云いようがない」
「耳が不自由で聞くことが出来ない人たちは初めて私たちも仲間に入れてもらえ
たと喜んでいましたね」
「私も嬉しかったです。手話通訳を付ける方法はありますが、とっさの思い付き
ですし、人を介さず本人から直接が良いですよね」
「それは当たり前だよ」
「そうなんです。当たり前の事が当たり前に行われていますか?いないでしょう」
「そうだな。云われてみれば当たり前の事だ」
「当てり前の事としてやった驚きは世界中に伝わったでしょう」
「伝わったね。月下さんが敏感に感じ取ったように感じた人がフランスにも居た」
「そう。フランス航空の社長」
「福さんを副社長にって」
ペイントで描きました。
「以前からフランスに縁があって繋がっていまいしたが・・・」
「フランス航空のキキさんも云ってましたね。早く総理大臣止めて来てほいいと
社長が何時も云ってると」
「フランス航空の副社長ってどんな仕事をするんですか?」
「主にですが、東洋圏と中近東圏を担当して、各国の主な人と交流を深めて会社
の発展に役立たせる仕事です」
「凄いですね。それもフクガセンムの魅力が認められて望まれたのでしょう」
「実際のところ日本文化の紹介や中国やアラブ系との文化交流です」
「それって外交官みたいですね」
「実はそれが私の主な仕事です。勉強でもあるし、日本の外交官たちを紹介する
役割を担っています」
「色々な国や人の違いを学んで関わる大切さって福さんの持論だからね」
「そうです。違いを知る事はとても大事です」
ペイントで描きました。
「お待ちしていました。ようこそ福寿司ご一行様。まあ、ナミカさん。お父様ご
無事で良かったです。先日、お見えになって大変お元気でほっとしました」
「父が先日は大変お世話になりまして有難うございます。また今日は私が改めて
お世話になります。よろしくお願いいたします」
「どうぞ今度こそごゆっくりなさってください」
「フクガセンムさん。今日は如何なさいますか?」
「今日は初めに私の部屋に案内して、其れから皆さんと一緒に福寿司さん恒例の
貸し切り大浴場露天風呂と宴会場で例のおさらいを」
「了解です。専属バンドをスタンバイですね」
「よろしく」
ペイントで描きました。
「ナミカ。私が家にも会社にも居ない時は此処に居て海外と交信してるんだ」
「そうでしたか。家とは違った異次元のアトリエって感じ。素晴らしいです」
「温泉露天風呂も付いているんだよ」
「ちょっと行ってみて良い?」
「どうぞ」
「暗くなって来て遠くに光っているのは漁火かしら?」
「そう。烏賊を釣る船だね」
「貴義が此処でトムソーヤのような秘密の世界が必要なのね」
「ま~ね。そんなところだね」
「メールが入ったみたいよ」
「ちょっとメールをチェック。アラブ系の王国の王子からだ。国王が私を呼んで
いるようだ。一緒に行ってみるか?」
ペイントで描きました。
つづく
2024-03-24 03:13
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