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小説「イメージ4」No:93

イメージ No:93

 現実は小説より奇なりと云われるが此の小説はフィクションだから現実より
も奇なりである。

 語り手は空に浮かぶ「雲」の私である。
主人公は福賀(フクガ)貴義(キヨシ)3歳で両親を交通事故で失った孤児だ。
なのに合気道九段で少林寺で修行して少林拳と気功は両方とも師範である。

 自然と親しみ、自然と会話が出来る。
1浪したが国立アート大学在学中に日本宣伝アート協会の会員に学生で初めてな
ったし、国際アート・フェスティバルでグランプリを受賞した。
その事が新聞で報じられ(株)雪月花の社長にスカウトされる。
「それが最初から部長なんだから。現実よりは奇なりでしょう」
「そして福寿司の温泉一泊旅行になったのは専務になって直ぐでしたね」
「伊東温泉・山海ホテルの大浴場貸し切り」

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「それも気まぐれ突然ですから」
「色々な事が現実より奇なりですね」
「とうとう日本で初めて女性の内閣総理大臣を作ってしまったし」
「凄いですよ。全ての原発を凍結しましたね」
「米軍基地も全部失くして武器を持たない中立国を宣言した」
「世界の各国と不戦条約を結びましたね」

「凄い事ばかりやって来た。ミサイルで打って来たら売って来たところにUター
ンする仕掛けを開発し特許を取った」
「あれも凄い。人間冬眠。人口が増え過ぎたら部分的に交代で冬眠し合う」
「ご自分で冬眠第一号になった」

 山海ホテルの女将が久し振りの海辺と懐かしそうに話している。
「海辺さん。今度は社長付きの秘書さんですね」
「そうなんです。また度々伺うと思いますので宜しくお願いいたします」
「こちらこそ。同士ですもの宜しくです」
「私たちは社長になられてもフクガセンムです。会社では社長ですが」
「キキさん時々来てますよ。ちょうど今日もいらっしゃています」

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「やっぱり。何かそんな感じがしていました」
「そうでしょう。私たちエスパーですものね」
「そうです。あの松竹さんは?」
「勿論。フクガセンムのエスパーですよ」
「今日はやっぱり」
「お見えになってます」
「そうでしたか」
「集まりましたね」

「此れからですね」
「そうですね。此れからが大変です」
「緊張します」
「私もです」
女将が真剣な顔で応えた。
「後で集まって話しましょう」
「そうですね」
海辺も秘書ではない顔になっている。

「皆さん大広間に集まっていらっしゃいますから部屋割りをして来ます。貸し切
りを決めて、お風呂から上がったら宴会場へ、フクガセンムのカッポレと奴さん
のおさらい、其の後に集まりましょう」
「今は暫定総理ですから次の総選挙で正式に総理大臣になってもらわなければ」
「本番に向けてですね」
「では後ほど」

「皆さん。大浴場男風呂と女風呂30分貸し切りにします。ご希望の方には貸し
切り券を渡しますから取りに来てください」
何なに貸し切り券だと?といぶかる初めての客に福寿司の大将と女将が説明をし
ている。
「へ~ぇそうなんですか。そいつは貸し切りで入らなけりゃなるまい」
「そうなんですか。其れは貴重な体験です。是非お願いします」
って初めて参加の女性客も貸し切り券をもらいに行く。

 割り当てられた部屋に夫々入室して貸し切りの時間が来るのを待っている。
先ずは男性の貸し切り時間が知らされる。
「こんな事は福寿司さんだから出来るんだよ。他のお客さんでは中々出来ません
から有難いです」
「其れはそうなんだけど,そこで優越感を持っちゃいけませんよ」
「大丈夫ですよ大将。感謝もし、申し訳ないとも思ってますから」
「まあね。実のところ皆さんって云うより福さんの希望でって事だからね」

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「あぁ見えても福さんは照れ屋だからね。其のうえ口下手って来てるんで皆に話
すより一緒に入った方が良いんだね」
「裸の付き合いでしょう。私らと仲良くしたいって寸法だ」
「そうだね。コミュニケーションってやつだね」
「意外ですね。国会で手話を使って原稿無し2時間の所信表明演説をした人が話
下手って本当ですか?」
「本当なんだよ。店に来て寿司を食べていても殆ど話をしない。久保田の萬壽が
好きでね。ちびりちびり呑んで、あっしが握った寿司をつまんではニコニコして
るだけなんだから」

「そうですね。私が伺った時もフクガセンムがしゃべって居るの見た事ないです」
「もっとも、来たら直ぐ温泉一泊旅行になるからね」
「あの温泉で背中の龍を泳がせる姿が全てを語っているんでしょう」
「それは私たちも納得ですが・・・」
「なにせ、外ではやる事をしっかりやってるから不思議だよな」
「これからも楽しみですね大将」
「そうだな。此れから何をやらかすか興味津々だな。本当は危険が一杯で心配な
んだけどな。本人も其れは解っているだろ」
「そうでしょうね。今までの政治家が出来なかった事や行わなかった事を全部や
って来てますからね」

「どんなに憎んでいるか。筋違いですがね。恨んでいるでしょう」
「色んな人や組織に狙われてもいるでしょう」
「多分ね」

 つづく

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