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小説「イメージ4」

イメージ No:86

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    3歳の時に交通事故で両親を失う。
    父方の叔父に合気道を教えられながら育つ。
    住まいに近い海岸で自然と向き合い絵を描く事で会話を交わすように
    なる。
    国立アート大学に進み、全ての時間を使い自力を高める。
    2か月の夏休みに中国に渡り、河南省中岳嵩山の中の少室山の北麓に
    ある寺院少林寺に入門。
    少林拳と気功術を習得して師範の資格を戴く。
    合気道は大学1年の時点で九段。
    大学3年の秋に(株)雪月花(旧)雪月花石鹸株式会社・社長月下に
    スカウトされ新設の化粧品部門の宣伝部・部長で入社。
    4年目に役員として参加を望まれ専務を希望し経営に参加。
    その2年後ナミカと結婚パリ旅行の当日にじぶん党総裁候補山上に手
    伝いを頼まれ副総理を条件に承知して政界に入る。
    山上総理が健康上の理由で引退を期に民間に戻るもみんなの党の大海
    (党首)に誘われ新党「和」の党長になり総選挙で大勝し、内閣総理
    大臣になる。
    この段階で副総理に松竹梅子を置き次につながるように図るが閣僚の
    一人が反対勢力に計られスキャンダルに巻き込まれ任命責任を問われ
    辞任し再度民間に戻り(株)雪月花・副社長(株)東西観光・社長
    フランス航空・副社長 全国ホテル旅館組合・顧問 全国漁農組合・
    顧問 全国女性経営者連盟・顧問
    35歳
    
    福賀(フクガ)ナミカ NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    月下(ツキシタ)達雄(タツオ)株式会社雪月花・社長 ナミカの父

    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉 山海ホテル 女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座 福寿司 大将
            乙女(オトメ)       女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)株式会社東西観光・副社長 
     車(クルマ) 好人(ヨシト)  〃      取締役
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣 新党「和」党長

 ume.jpg

 永年の社長職で心労が溜まり心筋梗塞を起こし倒れたが伊東温泉・山海ホテ
ルからヘリコプターで駆け付けた福賀の気功で三途の川から引き戻された月下
は今、福寿司恒例の温泉一泊旅行に参加している。

「月下さんで良いですか」
福寿司の大将が初めに気になる呼び方を聞いて来た。
「はい。それで宜しくお願いします」
これで月下も大将も気兼ねない感じで落ち着いたようだ。
「私が云うのも何ですが、月下だん、此れから後の会社は福さんに任せて会長
さんで今までと違った風景を楽しんでください。今日はその門出のお祝いをし
ましょう。先ずは恒例の「貸し切り大浴場露天風呂で福さんと裸の付き合いを
しながら現実と離れた世界を楽しみましょ」」


 月下は呑み歩く訳じゃなし、会社とゴルフしか外の世界を知らない。
まして福賀が自由に飛び回っている実態に触れたことがない。
福賀との約束は自由に思いのままに動いて良い事だった。

フランスに(株)雪月花の支社を作りました。
フランスに合弁会社を作りました。
中国に雪月花化粧品店を作りましたなどと報告を受ける事で彼の行動を知っ
ていた。

 その今まで知る事が無かった福賀の部分を此れから伺えそうだ。
大将に任せて付いて行こうと月下は心を決めて此れからの展開に期待した。
いつの間にか福賀は姿を消していた。
きっと自分の3階の部屋でパソコンをチェックしているのだろう。
「温泉をお楽しみいただきましたら5階の宴会場にお集まりいただきお食事
とお酒を召し上がっていただきます。他にお楽しみのプラスもございます」

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 女将が最初は男性の方から、次に女性の方になります。一度皆さんお部屋に
お荷物を置かれてロビーのホールでお待ちください。用意が出来ましたらご案
内にまいりますと告げて居なくなった。
病み上がりの月下を気遣って最上階5階のスイートルームを割り当ててくれた。
女将に礼を言って月下が福賀を探したが見当たらない。
「大将。福賀は?」
「何か用事があるのでしょう。女将が来て案内されたら大浴場に行きましょう」
「何が何だか皆目見当が付きませんが・・・」
「そうでしょう。其処が此の旅行の良いところです」
ロビーに降りてホールに行くと初めて福賀のタペストリーが月下の目に入った。
「あれは・・・?」
いつの間にか女将が近くに居て声を掛けて来た。
「あれは福賀さんにお願いしてリニューアルしていただいた時にホテルのポイン
トにとご自分の作品を京都で西陣織でタペストリーに仕立ててくださいました」
「あぁそうでしたか。彼が国際アート・フェスティバルでグランプリを取った例
の作品を西陣織でタペストリーに」
アクリル絵の具で描いた作品はフランスの美術館が買い上げている。
「私にとっては彼が受賞した件と日本広告アート連盟の学生で初めて会員になっ
た新聞記事が生涯忘れられない出来事でした其れを
が彼との出会いでしたから」
「そうでしたか」
「感慨深い気持ちが蘇りました。来て良かったです」
「私もお会い出来て良かったです。そろそろ大浴場露天風呂が貸し切りになりま
すので二階にどうぞ。温泉をお楽しみいただきましたら5階の宴会場に上がって
ください。細やかですがお食事とお酒の用意をさせていただきます」

 202402-25b.jpg

 常連でも初めての客は何で貸し切りなのか何度か来てる常連に聞いている。
「其れはな。福さんに一般の人と一緒に入れないものがあるからなんだよ」
と福寿司の大将が代わりに答えている。
男性で成人なら大体見当がつく。
女性の場合は機会均等と云っても一般的な認識に違いがあるから友達に聞いたり
して納得している。
運良く福寿司の旅行に同行出来たので思い切って参加してみようと意を決して貸
し切り券を貰いに行く。
「では、男性の方から時間をお知らせします。その前にお部屋割を、そしてお風
呂から上がられたら最上階と云っても5階ですが宴会場にお食事とお酒を用意さ
せていただきますのでお集まりください。女性の方も少しずらして貸し切りにい
たします。上がられましたら5階の宴会場へどうぞ」

 月下は女将の説明を聞いていて何事が起きたのだろうと福賀に聞こうと探したが
見当たらない。
女将の計らいで月下には5階のスイートルームが割り当てられた。
病み上がりでもあるので福賀も一緒に付き合う事に決めていた。
3階の福賀の部屋もあるが今日のところは未だ見せずに伏せておこう。
色々あるがさらけ出すのも程々が良いだろう。


「皆さんお入りになりました」
「有難う。お世話になります」

「失礼します」
此れが福賀の挨拶だ。
福賀は皆が浴槽の淵に程よい間隔で並んで使っているところを右端から入って行
った。
「いや~ぁ前回はホテルに着いて直ぐヘリでとんぼ返りでした。幸いに今日は親
父と一緒に来ることが出来て良かったです」
柄にもなくおどけて福賀は静かに福寿司一行に挨拶をした。
そう云うと腰まで立ち上がって皆が並んでいる前をゆっくりと泳ぎ始めた。
少しだけど温まった福賀の身体は背中の桜の花弁をほんのり紅を薄めて色付けて
色っぽく、きりっと顔を引き締めた龍が厳しい存在感を放っている。
月下は初めて福賀の背中に彫られた龍にお目に掛って度肝を抜かれ言葉を失った。
この瞬間に次元の違う世界に月下の中の風景も変わった。
福寿司の常連たちは福賀が醸し出すこの瞬間を待ち望んでいたに違いない。
この彫り物は名人五代目彫辰が命懸けで六代目を福賀に継いでもらったお礼と云
うかお守りとして彫ったものだ。
日本の刺青は本来魂を内に秘めて彫られたもので人に見せるものではない。
「皆さんと信頼関係を結びたい私の気持ちです。他言無用でお願いいたします」
10分も居ただろうか。
「お先に失礼します。後ほど宴会場で」

 202402-25c.jpg

 そして女風呂へ。
「皆さんお入りになっています」
「お世話になります」
脱衣所で裸になり、手拭をもって大浴場露天風呂に入って行った。
静かだ。
湯気こそ無いが熱をもった空気がやけに張りつめている。
「失礼します」
凛とした福賀の声が優しく響く。
此処でも浴槽の淵を背にして良い感じの間隔で並んでいる。
湯面からは首から上しか出ていない。
ここの大浴場の温泉は乳白色で浸かっている身体は隠れているのだが。
男湯と同じに福賀は右端に回り込んで身体を沈めた。
「私は家に居る時は生まれたままの姿で過ごして居ます。それが自然だから」
20人程の中で緊張しているのだろう、何人か小刻みに身体を揺すっている。
流石だ。
日本で初めて内閣総理大臣になった松竹梅子が口を切って答えた。
「前総理いや福賀さんは自然を大事に思われて大切になさっていらっしゃるから」
「そうです。自然ほど大切なものは無いと思います」
「自然から生き物は生まれたから?」
「そうです。自然から生まれたのでなければ何処から生まれたのでしょう」
「空から降って来たなんて事は無いですよね」
「そうですよね」
「だから自然を大事に思って大切にしなければ人間は生きられないでしょう」
「それから、福賀さんは夫々が持ち合っている違いについて色々お考えになってい
らっしゃる」
「そうです。自然を大切にする事と自然が造った様々な違いも大事ですね」
「解るような気がします」
「これも大事で大切な問題で我々の課題だと思います」
「なるほど。大事な自然と自然が造った違いですか?」
「そうです。夫々顔が違いますね。同じだったらどうなりますか?」
「考えられません」
「そうでしょう。違うから良いので、同じだったら混乱してしまうでしょう」

そう云いながら福賀は左に向かって泳ぎ出した。
湯面は優しく波立ち女性たちを慌てさせた。
この瞬間に外とつながる空間に異次元の世界が現れたに違いない。
「では、お先に失礼して5階の宴会場で又お会いしましょう」
宴会場には何かが用意され福賀を待っていた。

 つづく


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小説「イメージ4」

イメージ No:85

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    3歳の時に交通事故で両親を失う。
    父方の叔父に合気道を教えられながら育てられる。
    住まいに近い海岸で自然と向き合い絵を描く事で自然と会話を交わ
    すようになる。
    国立アート大学に進み、2ヶ月の夏休みを使って中国に渡り少林寺
    に入門。
    少林拳と気功術を習得して師範の資格を得る。
    大学1年の時点で合気道九段。
    前・総理大臣 現在35歳
    じぶん党の山上総裁に手伝いを頼まれ副総理、山上総理辞任・離党
    政界引退を期に民間に戻るが、みんなの党・党首大海に誘われ新党
    「和」の党長になり、総理になるが閣僚の一人がスキャンダルを起
    こし任命責任を問われ辞任して元に戻る。
    (株)雪月花・副社長(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    全国ホテル・旅館組合顧問 全国漁・農組合顧問 全国女性経営者連
    盟顧問 
    
    福賀(フクガ)ナミカ NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    月下(ツキシタ)達雄(タツオ)(株)雪月花・社長 ナミカの父
    
    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座 福寿司・大将
            乙女(オトメ)       女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
     車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・常務取締役 元・ドラ
       イバー
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

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ペイントで描きました。

「私は社長の役柄として福賀貴義を何処にも行かせずに来てもらわねばと思ったの
です。運よく娘のナミカが福賀君を知っていたので直ぐ会う事が出来たし、来ても
らえたので社長としての役割を果たせました。本来なら此の時点で私の仕事は終わ
っていたのです。折角得られた福賀君を最大限に生かしたい思いで今まで来てしま
ったのです」

「そうでしたか。そうですよね。この福さんを自由に泳がせて思うがままに力を発
揮してもらう為の環境づくりは大変だったでしょう」
「彼がどれ程の能力を待っているか他の人たちは解っていないのですから」
「そうですね。デザインや広告の世界は一般には解りずらいですから」
「そうなんです。社名変更や化粧品部門新設も全て彼の案だとは知らせていません
でした」
「社内では社長の案だと」
「そうです。役員会にはかりながら私が全て行ったのです。其れが彼の条件でした」
「なるほど。下準備が出来たところに福さんが入って来た」
「そうです。化粧品宣伝部・部長として」
「あのフクガセンムさんが国際アートフェスティバルでグランプリを取った新聞記
事は会社の人も見てたのでは?」

「そうですね。役員も見ていました。私にアクションを求められました」
「そうでしょう。経営に関わる人だったら欲しがるのが当然でしょうから」
「でも、彼を獲得出来たと云えませんでした。もしも情報で自社株を買うような人
が出たら犯罪を作ってしまう恐れが多分にあったからです」
「成程。フクガセンムさんが雪月花に入る事が解ったら絶対に株も動きますね」
「彼が何処の企業に関わるか大きな関心事になっている事は間違いありません」
「正月元旦に出た2ページ見開きの新聞広告で役員も社員も初めて知りました」
「よく我慢出来ましたね社長さん」
「早く正月が来てくれと毎日願っていました」
「役員の方たちに恨まれたでしょう」
「福賀君とコンタクトを取ったことは云っていました。でも彼は独立してデザイン
事務所を持つそうで、其の時はクライアントになってほしいと云っていたと伝えて
いました。でも喜んでくれましたよ」

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パステルで描きました。

「福さん直ぐ結果を出したじゃないですか」
「そうです。1年後収益2倍、2年目3倍。結果は信頼につながりました。社内だ
けではなく株主さまからも福賀の信頼は絶大なもので、是非とも役員の席で福賀を
見たいと要望があって、社の役員からも要望があって彼に打診しました」
「それで役員に」
「そうなんです」
「で、専務ならって云われた?」
「役員の方たちは専務を望まれるとは思っていなかったでしょう。私も全く思って
もいませんでしたから驚きました」
「其の時の空気はどんな感じでした?」
「時間が止まった感じでした」
「そうでしょうね。予想外だったでしょうから」
「私にも他の役員にも初めての体験でしたから」
「興味津々」

「私はだまって役員たちの様子を伺いました」
「ここは我慢ですか?」
「そうです。沈黙は金ですね。一人の役員が私に聞いて来ました」
「なんて?」
「私はどう思うかと」
「で?」
「私は良いと思うと答えました」
「それで?」
「社長が良いと思われるなら私は同意しますと云われました」
「決まりですね」
「役員全員が拍手で答えてくれました」
「フクガセンム誕生ですね」
「そうです」
「それでああなってこうなって」
「政界から帰って来てくれて副社長になってもらって今度は私の代わりに社長にな
ってもらいます」
「本当にお疲れさまでした。これからは福さんを楽しんで眺められますね」
「以前、経営者会議の会長が福賀を柔らかくしてやると云われてご自分の領域を連
れまわしたら、それは福賀の領域だったりして、お返しにと会長を連れて行ったと
ころが福寿司さんで此の恒例の温泉一泊旅行に同行して山海ホテルに行かれて電話
を掛けて来ました」

 202402-21a.jpg
ペイントで描きました。

「何と?」
「堅いと思ったら大きな間違いだった。あいつはどんな所でだっておっしゃてまし
た。なので、国立アート大学出だと云ったら其処がどんな大学か解っていらっしゃ
たようで、何で其れを云ってくれなかったって怒られて仕舞いましたよ」
「仕方ないね。畑違いだから」
「其れからですね。会長の意識が変わったのは、福賀を経営者会議の青年部・部長
にしたり、テレビの【アルミの部屋」のアルミさんから福賀の出演依頼があったの
ですが、スケジュールが取れないと断っていたところ会長が出演した時に頼まれた
と電話を掛けて来たりしてましたね」
「そうなんです。会長は結構真っ直ぐな人で面白いです」
「福さんにかかっちゃあ会長さんも面白がられるんだ」
「そんな事ないですよ。良い人だって云ってるんだから」
「ナミカさん時の様に今日は寝てませんね。親父さんと一緒では」
「当たり前でしょう大将」
バスは乗ってるか動いているか止まっているのか解らない絶妙な感じで伊東温泉・
山海ホテルに到着。
「ようこそ福寿司ご一行さまお待ちしていました。前回はとんだ事でしたが如何
でした?」
「福さんが例のあれで無事回復されて今日ご一緒です」
「それはそれはようございました」
「ご心配をお掛けしました。月下です。福賀が大変お世話になっております。また
今日は私もお世話になります。宜しくお願いいたします」
「これはこれは。ご無事でなによりでした。お世話になってるのは私の方でして今
後ともよろしくお願いいたします」
女将の案内で先ずは2階の大広間に・・・そして例のあれが始まった。
「福さん。良いんですね」
「勿論。いつも通り」
「てんで女将さん宜しくお願いいたします」
「では皆さんのお部屋割りの後、ご希望の方には大浴場露天風呂男風呂30分、女
風呂30分貸し切りにさせていただきますので貸し切り券を受け取ってください」
「え?突然来て30分も貸し切りって出来るんですか?」
初めてついて来た福寿司の常連が驚く。
「出来るんだから不思議でしょう」
何回も来ている常連が受けて答えている。
「月下社長さんもよござんすね」
「はい。皆さんと一緒にお願いします」

 つづく

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小説「イメージ4」

イメージ No:84

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    3歳の時に交通事故で両親を失う。
    その後、父方の叔父に育てられ、合気道を教えられながら絵を描き続け
    国立アート大学に進み、2か月の夏休みを使い4千年の歴史を学びたい
    と中国河南省にある中岳嵩山の中の少室山の北麓にある寺院少林寺に入
    門し福悟空の僧名をいただき少林拳と気功術の師範資格を得る。
    合気道九段。
    前・総理大臣 現在35歳
    今は月下社長にスカウトされた(株)雪月花に戻り副社長。
    その他に(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長。
    全国ホテル・旅館組合の顧問 全国漁・農組合の顧問 全国女性経営者
    連盟の顧問。

    福賀(フクガ)ナミカ(旧姓・月下)NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    月下(ツキシタ)達雄(タツオ)株式会社雪月花・社長
    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座福寿司・大将
            乙女(オトメ)      女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
     車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・運転手
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

 月下と福賀を乗せた救急車が病院に着く。
取り合えず緊急病棟の一室に運ばれベッドを並べて点滴を続けている。
家からナミカの母親と弟が横須賀線で駆け付けた。

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 人間は死んでしまったらそれっきり、植物の様にまた生えたり出来ない。
生きていてこそ色々あって楽しいのだ。
「福賀さんも倒れたとナミカから聞いてびっくりしました」
「いや、大した事はありません。社長はもう大丈夫ですから安心してください。
少し働き過ぎたようですね。皆が頼り過ぎたようです。気を付けるようにします」
「有難うございます。お仕事の話は一切しない人ですので全く解りませんでした。
少しゆっくりしてもらうようにします」
「社長は真面目な方だからお付き合いはゴルフに限っていらっしゃる。其れも気を
使う仕事の一部になっていますから疲れも溜まったのでしょう」
「そうなんですね。ゴルフは運動だから身体に良いと思っていましたが間違いだっ
たのですね。福賀さんはゴルフはなさらないのですか?」
「ゴルフは苦手でして社長に任せたのも私の責任でした。此れほど負担になってた
とは思っていなかったです。申し訳ありませんでした」
「私もこれほど真面目だとは思っていませんでした。ゴルフは社交になっていたり
しますからね。仕方ないと思いますが、福賀さんはゴルフをなさらず何を?」
「私はもっぱら食べる事と温泉大好きで色々お付き合いをしています」
「世界中を飛び回っていらっしゃるようですね。ナミカから聞いています。それも
お付き合いでしょう」

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「はい。色々人夫々役割がありますので」
「月下にも出来れば福賀さんのようにそうしてほしいです」
「はい。此れからは社長にもゴルフは程々にして美味しいものを食べたり温泉に浸
って楽しんでほしいです」
「是非そうしていただきたいです」
「承知しました」
「あなた。聞いていました?」
「あぁ聞いてましたよ。結構なお話でした」
「そうでしょう」
「福賀君には大変お世話になってるから頑張りましたが今回あのキラキラした川の
手前から引き戻してもらったので福賀君に会社を頼もうと思っていますよ」
「そうしてください。折角あちらに行かずに助けていただいたのですから無理をな
さらないでください。もうこんなにドキドキは嫌ですから」
「家内もそう云ってる。福賀君どうだろう?」
「そうですか。社長のお気持ちは良く解りました。最初から頼まれていますから
此れからも其の続きとして了解です。明日は役員たちも見舞いに来られるでしょう
から社長の気持ちを伝えて皆さんが承知されたらお引き受けいたします」
「そうか。それを聞いてほっとした。有難う」

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 緊急病棟を出て一週間が経って月下は退院した。
「え!らっしゃい!」
いつもの元気な大将の声だ。
「お~!福さんこないだは大変だったね」
「心配かけて申し訳ない」
「また今日もお連れさんで」
「ご心配をおかけした張本人の私です」
「あぁ!ナミカさんのお父さんようこそ。それじゃこないだのやり直し
ってことだね。福さん気が利いてんね」
「大将思いっ切りぱ~っと行きましょう」
「あいよ。女将!」
「あいよ」
「いや~ぁこれですね。経営者会議の会長が云ってました。この感じですね」
「福さんには専務になられて間もない頃からなんですよ」
女将がのれんを外しの灯りを消して中にはいる。
初めての客はなんだ?何だ?って常連客にお伺いを立てている。

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「突然ですが今日は店の温泉一泊旅行になりやした。うんで一緒に行きたい人は
心配を掛ける事がないように連絡をしてどうぞ。行けない人は今日の勘定は無し。
また来てね」
女将が行く人の名前と連絡先を書く紙を配って二か所に電話をする。
「女将!どうだ?」
「OKです」
と云って福賀の席に久保田の萬壽とお茶を運んで来た。
「福賀さんには今まで大変お世話になっています。ご無事でなによりでした」

月下は「あいつはとんでもない奴だ」って聞かされていた事を思い出していた。
其れが此れから始まるのだ。

 つづく

    
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小説「イメージ4」

イメージ No:83

 おらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 3歳の時に交通事故で両親を失い、父方の叔父に合気道を教えられ、海
    辺で自然と会話し、国立アート大学でグラフィック・デザインを学び、
    自分に出来る限りの力を付ける努力にはげんだ。
    福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    前・総理大臣
    今は社長(月下)のスカウトで化粧品宣伝部・部長で入社した(株)雪
    月花の副社長。(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    アーティストであり、武道家(合気道九段・少林拳・師範・気功術師)

    福賀(フクガ)ナミカ NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉 山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座 福寿司・大将
            乙女(オトメ)       女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
     車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・ドライバー
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

 202401-28A.jpg
 
 今までの内閣が出来なかった仕事が出来てホッとした一時をフクガセンムとして
福寿司恒例温泉一泊旅行にナミカを初めて誘って伊東温泉・山海ホテルへ・・・。
福賀がじぶん党の総裁候補の山上に頼まれて政治に関わった時にイメージした女性
の総理大臣も副総理、そして新党「和」の党長から総理大臣を経て松竹梅子を副総
理から総理大臣へとイメージを形にした。

 福賀が(株)雪月花の月下社長にスカウトされて、新設の化粧品部門で宣伝部長
として入社したのが23歳、そして4年で専務になり、3年後に政界入りした時3
0歳で副総理、2年務めて引退。
その後2年民間に戻ってフランス航空の副社長として呼ばれたりしていたら今度は
みんなの党の党首に新党結成を誘われ再び【よりよい環境づくり】を始め34歳の
時に総選挙で大勝して第一党になり総理大臣。
一年後閣僚の一人がスキャンダルを起こし指名責任者としての責任を問われ責任を
とって辞任。
暫定的ながら副総理の松竹梅子が内閣総理大臣になった。
福賀貴義当年取って35歳。

「ナミカさんが福さんと逢ったのはお幾つの時でした?」
福寿司の女将が聞いた来た。
「私が高3の夏でした。友達4人と海水浴に行った時に海の家で逢いました」
「そうでしたか。フクガセンムさんは其の時は?」
「大学4年生でしたね。又寝ちゃってます」
「4歳違いですね」
「そうです」

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「良く解りました。有難うございます」
「35歳の前総理でしたか。何か楽しくて嬉しくて笑ってしまいます」
「福さん35歳。初めて歳聞いたけどこりゃフィクションだ」
大将も大笑いしている。
乗っているんだか、乗っていないんだか解らないバスが伊東温泉・山海
ホテルに着きました。
「今日はいつもより早いお着きですね。え!フクガセンムさんの奥様が
ご一緒で、それはそれは初めまして大変お世話になっております山海ホ
テルの女将の山海小波です」
「主人が大変お世話になっております。フクガナミカです。宜しくお願
いいたします」
二人で同じ挨拶をし合っている。
先ずは大広間の方にとうながされて皆が静かに移動する。
其の時二人のスマホの電話に着信があった。
「もしもし、福賀です。え!社長が急に倒れた?解りました。直ぐ戻り
ます」
「ナミカ!」
「同じです」
「女将さん。ナミカのお父さんが倒れた。ヘリを呼んでください。大至急
で東京の株式会社雪月花まで」
「はい!」
山海ホテルの女将がヘリ会社に連絡する。
「直ぐ来てくれます。屋上に急ぎましょう」
「ヘリポートを造っておいて良かった」
「福賀さんに云われて良かったです」
「そんな訳で申し訳ない。次に又ご一緒しましょう」
「ご無事を願っています」
「有難う」

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屋上に女将二人と大将が送りに来た。
ヘリコプターが到着。
福賀とナミカが乗り込む。
ヘリコプターが飛び立つ。
車では高速の料金所や一般道に降りれば信号で止まらなければならない。
空からなら止まらずに行ける。
(株)雪月花も福賀の勧めで屋上を改造してヘリポートを造っていた。
空高く上ったヘリは東京を見下ろして降りて行くと其処は到着地点だ。
「今、病院から先生が来てくれています」
「お世話になります」
「副社長お願いします」
「貴義お願い。助けてください」
「解った。全力を尽くします」
「先生お世話になり有難うございます」
「あぁ福賀さん。月下さんは心筋梗塞の状態です」
「解りました。呼び戻したいので私に任せていただけませんか?」
「どうぞどうぞお任せします」
「有難うございます」
福賀は倒れている月下に跨った。
大きく気を吸い上げている。
数度繰り返したか。
其の気を月下に向かって吐き掛けて行った。
何度も何度も繰り返し気を入れて行く。
ふっと月下の口から息が漏れた。
その息が広がって目が開いた。
「フ ク ガ さ ん か」
「フクガです」
「キ ミ ノ テ 二 ヒ カ レ タ」
「そうですか。お帰りなさい」
そう云ったと思ったら福賀は気を失って倒れた。
「二人に点滴を」
先生の指示で救急車が二台呼ばれた。

 つづく
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小説「イメージ4」No:82

イメージ No:82

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私。
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)前・総理
    今は社長(月下)のスカウトで化粧品宣伝部・部長で入社した(株)
    雪月花の副社長(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    アーティスト 武道家(合気道九段・少林拳師範・気功術師)
    福賀(フクガ)ナミカ (旧姓・月下)NPOナミカ理事長

    山海(サンカイ)小波(コナミ) 山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)福寿司・大将
            乙女(オトメ)福寿司・女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添
    乗員 
    車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・ドライ
    バー
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

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「皆さん。お気付きになられなかったのは当然です。福賀社長になって一番最
初になさったのが私が企画した世界グルメツアーと乗っているか乗ってないか
解らないドライビングでした」
「なるほど」
「車ドライバーは、運転中ですので私が代わりに話します。オチャメと云うか
イタズラっ子と云うか、社長として入ってくる前に研修生を装って運転車両部
に挨拶に来たそうです。その時に車が二種免許を持っているか聞いたそうです。
持ってるって云われたのでお得意の社員旅行のオーダーが入っていたので運転
をさせたそうです」
「それは無茶苦茶だ」
「そうなんです。危なかったら変わる積りだったと云っていました。それがお
客さまに凄く褒められた運転だったそうです。それが今皆さんが気が付かれた
運転でした。車が惚れ込んで運転車両部へ来ないかと誘ったそうですが、その
時に総務部に呼ばれているからと返事をそらされて今度は車が総務に呼ばれ貴
方に運転車両部・部長の辞令を社長が出していかれたと告げられたそうです」
「ビックリでしょうね」
「フクガセンムさんって部長がお好きなんでしょうか?」
「ご自分が部長で始まったから?」
部長好きの冗句が受けてほのぼのとした笑いが広がった。
「それが今では運転車両部担当取締役です」
「そうだ。役員にって望まれたら専務が良いって云った人だからね」
「そして閣僚でって云われて副総理が良いって云った人ですから」
「ナミカさんどうでした?」
「呆れました。良く云う人だなって。笑っちゃいました」

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「頼まれてやるとしたら出来る役を取るのが当たり前でしょう」
「そうですよね」
「責任を持ってもらえば其れだけの働きをしてくれるものです」
「でも、役でダメになる人もいますよ」
「そうですね。その他が自分に合っている人もいますね」
「それを見分けるのは私としては直感です」
「そうだ。何だろうと思っていたんだけど。解った。直感だった」
「大将もそうでしょう」
「あっしも直感だね。何か決める時は直感だね」
「変に高い役をもらって途端に威張りだす人もいますね」
「其れは見当違いの大失敗だ」
「其れはどうなんでしょうか?」
「感違いってもんでしょう」
「そうです。大きな感違いです」
「直感で何を感じるかって云うと優越感を持ってる人かどうかです。人格形成
で大切な事は人を見下す優越感を持っているかどうかです」
「そう。直ぐ人を管理しようとか、支配しようとか思う人いますね」
「その人は人格形成過程で気が付かずに育ってしまったのです」
「人ってさ。ある程度育ってしまうと人格って決まってしまうでしょう」
「そうですね。人に云われても気が付かない」
「そうです。でも人に云われたことを聞こうとすれば修正出来ます」
「そうですね」
「車さんは人の姿から感じて修正したのです。立派な事です」
「素直が一番ですね」
「あっしも見習いたいね」
「大将もそんなとこあるんですか?」
「いっぱいある」
素直な大将にどっと笑いがおこった。

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兎に角、此方側は彼方の金と権力で成り立っている世界と違うから安心出来る。
「此方では前・総理もフクガセンムだから奥さまもナミカさんで良いですか?」
「はい。そうしていただければ嬉しいです」
皆から拍手喝采。

 自称縄文人の福賀は都会を離れ山深いところに籠っている。
蛍と一緒に夜を過ごしたり、滝の音を聞いたりしており、それは彼が彼である自
然な姿なのだろう。
自然から生まれた事、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感を授かった事に感謝
し、自分が出来る何かを求め続けている。
「縄文人は火山の近くに住んでいたらしい」
福賀は拠点を段々と富士山の麓に近づけている。
「自然に良くないことはしない」
「生物に良くないことはしない」
こうした話はいつも周りの人たちとしている。

「先ずは、あちこちに散在している自然に悪しきものを無能にしよう」
「それはフクガセンムが冬眠したように?」
「いや、永久に眠ったままにしよう」
「その他の事もやろうと思えば出来る事ですね」
「そうです」
「あの驚異的なダイナマイト以上のモノは自然を害します」
「科学も文化とバランスを取るようにしましょう」
「バランスが大事ですね」

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「出来るからと云ってやり過ぎないように気を付けましょう」
「作るだけではなく、後の事も考えて作りましょう」
「過ぎて良い事はありません」
「フクガセンムは雪月花に入られて、商品の販売と回収を行いましたね」
「そうです。売る責任は処理にも責任があると思ったので」
「自然を汚さないで、自然の恩恵を生かす方向を思考する」
「あっちの道は何れ破綻します」
「だから、こっちの道を整備するのですね」
「そうです。もう男社会至上主義は自然破壊と残虐しか出来なくなっています」
「そうです。女性に任せましょう。自然を守り生かしてくれるでしょう」
「松竹梅は日本を象徴する花ですね。植物から始めるのが良いかと思います」」
「そうですね。和食にも使われています。日本画のモティーフにも使われます」
「松竹梅子さん。私は貴方を日本の救世主、いや世界の救世主に選びました。思
い切ってよりよい環境づくりを世界規模で進めてください」
「解りました。ご期待に添えるように努力します。ところで福賀さんは?」
「私は頼まれたことを手伝いながら土偶や絵を描いて山の中で暮らします。でも
気が向いたら福寿司さんに行くために時々山を降りて行きます」
「私も福賀さんに頼みたくなったら福寿司さんにお誘いしますのでよろしく」
「ではまた」

 つづく




    
    
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