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小説「イメージ4」

イメージ No:84

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    3歳の時に交通事故で両親を失う。
    その後、父方の叔父に育てられ、合気道を教えられながら絵を描き続け
    国立アート大学に進み、2か月の夏休みを使い4千年の歴史を学びたい
    と中国河南省にある中岳嵩山の中の少室山の北麓にある寺院少林寺に入
    門し福悟空の僧名をいただき少林拳と気功術の師範資格を得る。
    合気道九段。
    前・総理大臣 現在35歳
    今は月下社長にスカウトされた(株)雪月花に戻り副社長。
    その他に(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長。
    全国ホテル・旅館組合の顧問 全国漁・農組合の顧問 全国女性経営者
    連盟の顧問。

    福賀(フクガ)ナミカ(旧姓・月下)NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    月下(ツキシタ)達雄(タツオ)株式会社雪月花・社長
    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座福寿司・大将
            乙女(オトメ)      女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
     車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・運転手
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

 月下と福賀を乗せた救急車が病院に着く。
取り合えず緊急病棟の一室に運ばれベッドを並べて点滴を続けている。
家からナミカの母親と弟が横須賀線で駆け付けた。

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 人間は死んでしまったらそれっきり、植物の様にまた生えたり出来ない。
生きていてこそ色々あって楽しいのだ。
「福賀さんも倒れたとナミカから聞いてびっくりしました」
「いや、大した事はありません。社長はもう大丈夫ですから安心してください。
少し働き過ぎたようですね。皆が頼り過ぎたようです。気を付けるようにします」
「有難うございます。お仕事の話は一切しない人ですので全く解りませんでした。
少しゆっくりしてもらうようにします」
「社長は真面目な方だからお付き合いはゴルフに限っていらっしゃる。其れも気を
使う仕事の一部になっていますから疲れも溜まったのでしょう」
「そうなんですね。ゴルフは運動だから身体に良いと思っていましたが間違いだっ
たのですね。福賀さんはゴルフはなさらないのですか?」
「ゴルフは苦手でして社長に任せたのも私の責任でした。此れほど負担になってた
とは思っていなかったです。申し訳ありませんでした」
「私もこれほど真面目だとは思っていませんでした。ゴルフは社交になっていたり
しますからね。仕方ないと思いますが、福賀さんはゴルフをなさらず何を?」
「私はもっぱら食べる事と温泉大好きで色々お付き合いをしています」
「世界中を飛び回っていらっしゃるようですね。ナミカから聞いています。それも
お付き合いでしょう」

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「はい。色々人夫々役割がありますので」
「月下にも出来れば福賀さんのようにそうしてほしいです」
「はい。此れからは社長にもゴルフは程々にして美味しいものを食べたり温泉に浸
って楽しんでほしいです」
「是非そうしていただきたいです」
「承知しました」
「あなた。聞いていました?」
「あぁ聞いてましたよ。結構なお話でした」
「そうでしょう」
「福賀君には大変お世話になってるから頑張りましたが今回あのキラキラした川の
手前から引き戻してもらったので福賀君に会社を頼もうと思っていますよ」
「そうしてください。折角あちらに行かずに助けていただいたのですから無理をな
さらないでください。もうこんなにドキドキは嫌ですから」
「家内もそう云ってる。福賀君どうだろう?」
「そうですか。社長のお気持ちは良く解りました。最初から頼まれていますから
此れからも其の続きとして了解です。明日は役員たちも見舞いに来られるでしょう
から社長の気持ちを伝えて皆さんが承知されたらお引き受けいたします」
「そうか。それを聞いてほっとした。有難う」

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 緊急病棟を出て一週間が経って月下は退院した。
「え!らっしゃい!」
いつもの元気な大将の声だ。
「お~!福さんこないだは大変だったね」
「心配かけて申し訳ない」
「また今日もお連れさんで」
「ご心配をおかけした張本人の私です」
「あぁ!ナミカさんのお父さんようこそ。それじゃこないだのやり直し
ってことだね。福さん気が利いてんね」
「大将思いっ切りぱ~っと行きましょう」
「あいよ。女将!」
「あいよ」
「いや~ぁこれですね。経営者会議の会長が云ってました。この感じですね」
「福さんには専務になられて間もない頃からなんですよ」
女将がのれんを外しの灯りを消して中にはいる。
初めての客はなんだ?何だ?って常連客にお伺いを立てている。

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「突然ですが今日は店の温泉一泊旅行になりやした。うんで一緒に行きたい人は
心配を掛ける事がないように連絡をしてどうぞ。行けない人は今日の勘定は無し。
また来てね」
女将が行く人の名前と連絡先を書く紙を配って二か所に電話をする。
「女将!どうだ?」
「OKです」
と云って福賀の席に久保田の萬壽とお茶を運んで来た。
「福賀さんには今まで大変お世話になっています。ご無事でなによりでした」

月下は「あいつはとんでもない奴だ」って聞かされていた事を思い出していた。
其れが此れから始まるのだ。

 つづく

    
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