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小説「イメージ4」

イメージ No:85

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)
    3歳の時に交通事故で両親を失う。
    父方の叔父に合気道を教えられながら育てられる。
    住まいに近い海岸で自然と向き合い絵を描く事で自然と会話を交わ
    すようになる。
    国立アート大学に進み、2ヶ月の夏休みを使って中国に渡り少林寺
    に入門。
    少林拳と気功術を習得して師範の資格を得る。
    大学1年の時点で合気道九段。
    前・総理大臣 現在35歳
    じぶん党の山上総裁に手伝いを頼まれ副総理、山上総理辞任・離党
    政界引退を期に民間に戻るが、みんなの党・党首大海に誘われ新党
    「和」の党長になり、総理になるが閣僚の一人がスキャンダルを起
    こし任命責任を問われ辞任して元に戻る。
    (株)雪月花・副社長(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    全国ホテル・旅館組合顧問 全国漁・農組合顧問 全国女性経営者連
    盟顧問 
    
    福賀(フクガ)ナミカ NPOナミカ理事長 福賀貴義の妻
    月下(ツキシタ)達雄(タツオ)(株)雪月花・社長 ナミカの父
    
    山海(サンカイ)小波(コナミ)伊東温泉山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)銀座 福寿司・大将
            乙女(オトメ)       女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
     車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・常務取締役 元・ドラ
       イバー
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

 202402-21b.jpg
ペイントで描きました。

「私は社長の役柄として福賀貴義を何処にも行かせずに来てもらわねばと思ったの
です。運よく娘のナミカが福賀君を知っていたので直ぐ会う事が出来たし、来ても
らえたので社長としての役割を果たせました。本来なら此の時点で私の仕事は終わ
っていたのです。折角得られた福賀君を最大限に生かしたい思いで今まで来てしま
ったのです」

「そうでしたか。そうですよね。この福さんを自由に泳がせて思うがままに力を発
揮してもらう為の環境づくりは大変だったでしょう」
「彼がどれ程の能力を待っているか他の人たちは解っていないのですから」
「そうですね。デザインや広告の世界は一般には解りずらいですから」
「そうなんです。社名変更や化粧品部門新設も全て彼の案だとは知らせていません
でした」
「社内では社長の案だと」
「そうです。役員会にはかりながら私が全て行ったのです。其れが彼の条件でした」
「なるほど。下準備が出来たところに福さんが入って来た」
「そうです。化粧品宣伝部・部長として」
「あのフクガセンムさんが国際アートフェスティバルでグランプリを取った新聞記
事は会社の人も見てたのでは?」

「そうですね。役員も見ていました。私にアクションを求められました」
「そうでしょう。経営に関わる人だったら欲しがるのが当然でしょうから」
「でも、彼を獲得出来たと云えませんでした。もしも情報で自社株を買うような人
が出たら犯罪を作ってしまう恐れが多分にあったからです」
「成程。フクガセンムさんが雪月花に入る事が解ったら絶対に株も動きますね」
「彼が何処の企業に関わるか大きな関心事になっている事は間違いありません」
「正月元旦に出た2ページ見開きの新聞広告で役員も社員も初めて知りました」
「よく我慢出来ましたね社長さん」
「早く正月が来てくれと毎日願っていました」
「役員の方たちに恨まれたでしょう」
「福賀君とコンタクトを取ったことは云っていました。でも彼は独立してデザイン
事務所を持つそうで、其の時はクライアントになってほしいと云っていたと伝えて
いました。でも喜んでくれましたよ」

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パステルで描きました。

「福さん直ぐ結果を出したじゃないですか」
「そうです。1年後収益2倍、2年目3倍。結果は信頼につながりました。社内だ
けではなく株主さまからも福賀の信頼は絶大なもので、是非とも役員の席で福賀を
見たいと要望があって、社の役員からも要望があって彼に打診しました」
「それで役員に」
「そうなんです」
「で、専務ならって云われた?」
「役員の方たちは専務を望まれるとは思っていなかったでしょう。私も全く思って
もいませんでしたから驚きました」
「其の時の空気はどんな感じでした?」
「時間が止まった感じでした」
「そうでしょうね。予想外だったでしょうから」
「私にも他の役員にも初めての体験でしたから」
「興味津々」

「私はだまって役員たちの様子を伺いました」
「ここは我慢ですか?」
「そうです。沈黙は金ですね。一人の役員が私に聞いて来ました」
「なんて?」
「私はどう思うかと」
「で?」
「私は良いと思うと答えました」
「それで?」
「社長が良いと思われるなら私は同意しますと云われました」
「決まりですね」
「役員全員が拍手で答えてくれました」
「フクガセンム誕生ですね」
「そうです」
「それでああなってこうなって」
「政界から帰って来てくれて副社長になってもらって今度は私の代わりに社長にな
ってもらいます」
「本当にお疲れさまでした。これからは福さんを楽しんで眺められますね」
「以前、経営者会議の会長が福賀を柔らかくしてやると云われてご自分の領域を連
れまわしたら、それは福賀の領域だったりして、お返しにと会長を連れて行ったと
ころが福寿司さんで此の恒例の温泉一泊旅行に同行して山海ホテルに行かれて電話
を掛けて来ました」

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ペイントで描きました。

「何と?」
「堅いと思ったら大きな間違いだった。あいつはどんな所でだっておっしゃてまし
た。なので、国立アート大学出だと云ったら其処がどんな大学か解っていらっしゃ
たようで、何で其れを云ってくれなかったって怒られて仕舞いましたよ」
「仕方ないね。畑違いだから」
「其れからですね。会長の意識が変わったのは、福賀を経営者会議の青年部・部長
にしたり、テレビの【アルミの部屋」のアルミさんから福賀の出演依頼があったの
ですが、スケジュールが取れないと断っていたところ会長が出演した時に頼まれた
と電話を掛けて来たりしてましたね」
「そうなんです。会長は結構真っ直ぐな人で面白いです」
「福さんにかかっちゃあ会長さんも面白がられるんだ」
「そんな事ないですよ。良い人だって云ってるんだから」
「ナミカさん時の様に今日は寝てませんね。親父さんと一緒では」
「当たり前でしょう大将」
バスは乗ってるか動いているか止まっているのか解らない絶妙な感じで伊東温泉・
山海ホテルに到着。
「ようこそ福寿司ご一行さまお待ちしていました。前回はとんだ事でしたが如何
でした?」
「福さんが例のあれで無事回復されて今日ご一緒です」
「それはそれはようございました」
「ご心配をお掛けしました。月下です。福賀が大変お世話になっております。また
今日は私もお世話になります。宜しくお願いいたします」
「これはこれは。ご無事でなによりでした。お世話になってるのは私の方でして今
後ともよろしくお願いいたします」
女将の案内で先ずは2階の大広間に・・・そして例のあれが始まった。
「福さん。良いんですね」
「勿論。いつも通り」
「てんで女将さん宜しくお願いいたします」
「では皆さんのお部屋割りの後、ご希望の方には大浴場露天風呂男風呂30分、女
風呂30分貸し切りにさせていただきますので貸し切り券を受け取ってください」
「え?突然来て30分も貸し切りって出来るんですか?」
初めてついて来た福寿司の常連が驚く。
「出来るんだから不思議でしょう」
何回も来ている常連が受けて答えている。
「月下社長さんもよござんすね」
「はい。皆さんと一緒にお願いします」

 つづく

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