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小説「イメージ4」No:82

イメージ No:82

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私。
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)前・総理
    今は社長(月下)のスカウトで化粧品宣伝部・部長で入社した(株)
    雪月花の副社長(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    アーティスト 武道家(合気道九段・少林拳師範・気功術師)
    福賀(フクガ)ナミカ (旧姓・月下)NPOナミカ理事長

    山海(サンカイ)小波(コナミ) 山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)福寿司・大将
            乙女(オトメ)福寿司・女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添
    乗員 
    車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・ドライ
    バー
    松竹(マツタケ)梅子(ウメコ)現・内閣総理大臣

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「皆さん。お気付きになられなかったのは当然です。福賀社長になって一番最
初になさったのが私が企画した世界グルメツアーと乗っているか乗ってないか
解らないドライビングでした」
「なるほど」
「車ドライバーは、運転中ですので私が代わりに話します。オチャメと云うか
イタズラっ子と云うか、社長として入ってくる前に研修生を装って運転車両部
に挨拶に来たそうです。その時に車が二種免許を持っているか聞いたそうです。
持ってるって云われたのでお得意の社員旅行のオーダーが入っていたので運転
をさせたそうです」
「それは無茶苦茶だ」
「そうなんです。危なかったら変わる積りだったと云っていました。それがお
客さまに凄く褒められた運転だったそうです。それが今皆さんが気が付かれた
運転でした。車が惚れ込んで運転車両部へ来ないかと誘ったそうですが、その
時に総務部に呼ばれているからと返事をそらされて今度は車が総務に呼ばれ貴
方に運転車両部・部長の辞令を社長が出していかれたと告げられたそうです」
「ビックリでしょうね」
「フクガセンムさんって部長がお好きなんでしょうか?」
「ご自分が部長で始まったから?」
部長好きの冗句が受けてほのぼのとした笑いが広がった。
「それが今では運転車両部担当取締役です」
「そうだ。役員にって望まれたら専務が良いって云った人だからね」
「そして閣僚でって云われて副総理が良いって云った人ですから」
「ナミカさんどうでした?」
「呆れました。良く云う人だなって。笑っちゃいました」

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「頼まれてやるとしたら出来る役を取るのが当たり前でしょう」
「そうですよね」
「責任を持ってもらえば其れだけの働きをしてくれるものです」
「でも、役でダメになる人もいますよ」
「そうですね。その他が自分に合っている人もいますね」
「それを見分けるのは私としては直感です」
「そうだ。何だろうと思っていたんだけど。解った。直感だった」
「大将もそうでしょう」
「あっしも直感だね。何か決める時は直感だね」
「変に高い役をもらって途端に威張りだす人もいますね」
「其れは見当違いの大失敗だ」
「其れはどうなんでしょうか?」
「感違いってもんでしょう」
「そうです。大きな感違いです」
「直感で何を感じるかって云うと優越感を持ってる人かどうかです。人格形成
で大切な事は人を見下す優越感を持っているかどうかです」
「そう。直ぐ人を管理しようとか、支配しようとか思う人いますね」
「その人は人格形成過程で気が付かずに育ってしまったのです」
「人ってさ。ある程度育ってしまうと人格って決まってしまうでしょう」
「そうですね。人に云われても気が付かない」
「そうです。でも人に云われたことを聞こうとすれば修正出来ます」
「そうですね」
「車さんは人の姿から感じて修正したのです。立派な事です」
「素直が一番ですね」
「あっしも見習いたいね」
「大将もそんなとこあるんですか?」
「いっぱいある」
素直な大将にどっと笑いがおこった。

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兎に角、此方側は彼方の金と権力で成り立っている世界と違うから安心出来る。
「此方では前・総理もフクガセンムだから奥さまもナミカさんで良いですか?」
「はい。そうしていただければ嬉しいです」
皆から拍手喝采。

 自称縄文人の福賀は都会を離れ山深いところに籠っている。
蛍と一緒に夜を過ごしたり、滝の音を聞いたりしており、それは彼が彼である自
然な姿なのだろう。
自然から生まれた事、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感を授かった事に感謝
し、自分が出来る何かを求め続けている。
「縄文人は火山の近くに住んでいたらしい」
福賀は拠点を段々と富士山の麓に近づけている。
「自然に良くないことはしない」
「生物に良くないことはしない」
こうした話はいつも周りの人たちとしている。

「先ずは、あちこちに散在している自然に悪しきものを無能にしよう」
「それはフクガセンムが冬眠したように?」
「いや、永久に眠ったままにしよう」
「その他の事もやろうと思えば出来る事ですね」
「そうです」
「あの驚異的なダイナマイト以上のモノは自然を害します」
「科学も文化とバランスを取るようにしましょう」
「バランスが大事ですね」

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「出来るからと云ってやり過ぎないように気を付けましょう」
「作るだけではなく、後の事も考えて作りましょう」
「過ぎて良い事はありません」
「フクガセンムは雪月花に入られて、商品の販売と回収を行いましたね」
「そうです。売る責任は処理にも責任があると思ったので」
「自然を汚さないで、自然の恩恵を生かす方向を思考する」
「あっちの道は何れ破綻します」
「だから、こっちの道を整備するのですね」
「そうです。もう男社会至上主義は自然破壊と残虐しか出来なくなっています」
「そうです。女性に任せましょう。自然を守り生かしてくれるでしょう」
「松竹梅は日本を象徴する花ですね。植物から始めるのが良いかと思います」」
「そうですね。和食にも使われています。日本画のモティーフにも使われます」
「松竹梅子さん。私は貴方を日本の救世主、いや世界の救世主に選びました。思
い切ってよりよい環境づくりを世界規模で進めてください」
「解りました。ご期待に添えるように努力します。ところで福賀さんは?」
「私は頼まれたことを手伝いながら土偶や絵を描いて山の中で暮らします。でも
気が向いたら福寿司さんに行くために時々山を降りて行きます」
「私も福賀さんに頼みたくなったら福寿司さんにお誘いしますのでよろしく」
「ではまた」

 つづく




    
    
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