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小説「イメージ4」

イメージ No:81

 あらすじはNo:57にあります。
抜けた部分は回毎に折り込んでまいります。

語り手 空に浮かぶ「雲」の私。
主人公 福賀(フクガ)貴義(キヨシ)前・総理大臣 現・総理府特別顧問
    今は社長(月下)のスカウトで化粧品宣伝部・部長で入社した(株)
    雪月花・副社長(株)東西観光・社長 フランス航空・副社長
    アーティスト 合気道九段・少林拳師範・気功術師
    
    福賀(フクガ)ナミカ(旧姓・月下)NPOナミカ・理事長
    山海(サンカイ)小波(コナミ)山海ホテル・女将
    福崎(フクザキ)正人(マサト)福寿司・大将
            乙女(オトメ)福寿司・女将
    山谷(ヤマタニ)海乃(ウミノ)(株)東西観光・副社長 元・添乗員
    車(クルマ)好人(ヨシト)(株)東西観光・取締役 元・ドライバー

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「では、前・総理で今は我が社の社長は窓際の席で奥様は通路側にお願いします。
この福寿司さまご一行の温泉一泊旅行は通称フクガセンムが企画されたものでして
恒例になっておりまして、私も運転手の車もあ!いけない。失礼をいたしました。
いつも我が東西観光をご利用くださり有難うございます。今日と明日ご一緒させて
いただきます添乗員の山谷海乃です。そしてドライバーは車好人です。宜しくお願
いいたします」
此処で乗車の客たちから拍手が起こる。

「有難うございます。常連の方もいらしゃれば今日が初めてのお方もいらっしゃい
ますので簡単に自己紹介をさせていただきます」
此処でまた大きな拍手が送られる。
「私は普通の高校を普通に卒業して東西観光バス会社に就職しました。その時既に
会社は倒産の危機にさし掛かっていたのですが其れを知らずに世界グルメツアーを
考えて提案していました。今考えれば誰もそれどころではなかったでしょう。誰も
聞いてくれませんでした。そうです此の福寿司さまご一行の恒例温泉一泊旅行に乗
せていただいた時に何故かうちの社長が一緒でした。山海ホテルについてから社長
にお願いしましたが聞いてもらえませんでした。仕方なく取りすがるように必死で
フクガセンムさんをロビーで捕まえて企画の話をしました。此れから社長に会うの
で其の後でゆっくり聞かせてもらうと云われました。そして社長に頼まれて会社を
任せてもらう事になったからこの案を形にいましょうって云われました。あ~ぁあ
の時の嬉しさを思い出します。泣けました。幸せってあるんだな~。フクガセンム
さんが(株)東西観光にして世界グルメツアー部を作ってくれました。おまけに私
を其の部の部長に・・・。私はその時19歳でした」
お~!っと驚きの声が上がりました。

「私が部長なんて無理ですって云いました。そんな事聞いた事ありますん。皆怒り
ますよ。私が考えた企画が取り上げられて形になれば嬉しいです。それで充分です
から部長は止めてくださいってお願いしました。そしたら何て云ったと思います?
其れは無責任だよって。云われてびっくりしました。貴女が考えた事を他の人が出
来ますか?って。年齢は関係ありません。貴女は明日から世界グルメツアー部の部
長です。よろしくって決められてしまいました」
うお~って感動のうめき声のような叫び声と大きな拍手が長く続いた。
「私はどの位か解らないほど頭をさげて皆にお願いしましたし謝りもしました。決
めた人はニコニコして居てるだけでした。も~ぉ何て変わった人なんでしょう?そ
して会社はフクガセンムさんの思い通りに立ち直ったのですが何と今度は副総理で
山上さんを手伝うなんて云って行ってしまいました。部長だった私に企画担当取締
役やれって無茶苦茶じゃありませんか?」

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「それは確かに無茶苦茶だけど間違いではなかったね」
「そうですよ。立派にやってるじゃないですか」
「立派何てとんでもありません。四苦八苦ですよ。寝ちゃってるし・・・」
「申し訳ありません。変わった人に見込まれてしまって災難でしたね」
「奥様~有難うございます。その一言で報われました」
「良かったね。今まで其の気持ちを云いたかったんだね」
「そうなんです。大将解ってくれました?」
「解った。よ~く解った。私がしっかり聞きましたよ」
「私も心から感謝しています」
「山谷は文句を云ってません。感謝しています。感動をいただいています」
「そうでしょう。それも解るよ。私は笑っているけど素晴らしいと感じてる
んだよ。実はね」

「本当にそう思ってくれてます」
「山谷さんは素晴らしい出会いをしたんだな。良かったなって思てるよ」
「福賀も大変な事を頼まれていますから・・・」
「そうですね。そう云えば国立アート大学の時にもその後も色々頼まれ続け
られてますね」
「そうですね。私も世界グルメツアーを頼んで始まったのでしたし・・・」
「そうなんですよ。頼まれることから始まっていますね」
「福賀さんが頼んで始まったのは福寿司温泉一泊旅行だけかな?」
「そうですね。でも山海ホテルの定宿は?」
「そうだ。あれがあったか。あれは福さんが頼んで泊めてもらって始まった」
「それ以外は頼まれて始まってますね」
「じぶん党の山上さんから頼まれた一件は大変だったでしょう」
「そうですね。結婚して私としては初めてのパリ旅行で宿泊した其の夜でした
から驚きました。でも大変って感じはなかったです。解っていましたから」
「解っていたとは?」

「何が起こるか解らない人だって」
「そうですか。そこが違うんですね。私とは」
「変わった人と思えば大した事ではありません」
「確かに云えています」
「変わった人か。間違いなく世界一変わった人だ」
「でも、世界グルメツアーは山谷さんがお考えになった企画でしょう。でした
ら他の人では務まりませんね」
「でも、年が~」
「ホホホ年齢関係あります?」
「無いですか?」
「無いと思います」
「実はこの人のお父さん雪月花の社長さんですよ」
福寿司の女将さんがそっと口を挟んだ。

「え~そうだったのですか」
初めて聞いた山谷はビックリした。
「まさかこんなに色々な展開になるとは思いもしなかったのですが。高校3年の
時、友達と海水浴に行った海の海の家で友達の手伝いをしに来ていた彼に出会っ
たのですから偶然です」
「それがお父様の福賀スカウトにつながった?」
「そうです。父があの時の新聞。福賀が学生で初めて日本広告アート連盟の会員
になった事と国際アート・フェスチバルでグランプリを受賞した記事が載ってる
新聞です。母を呼んで見るように勧めたのです。母は前に私のアパートで友達を
呼んでバースデイ・パーティをした時にお友達として福賀を紹介していました。
母がこの人を知ってると云ったので、偶然泊まり合わせていた私にコンタクトを
頼みました。電話したら居たので其の日に二人は会う事が出来ました」
「ナミカさんのお父様が雪月花の社長だとは福賀さんは知らなかった?」
「それが・・・そろそろ就活が始まる頃でしたので何となくつながると良いなと
思う気持ちがあって私の父は雪月花の社長をしていますってチラッと云っていま
した」

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「成程。其れでは既に福賀だんの中には雪月花があたのですね。23社からオフ
ァーがあっても」
福賀が眠りから覚めて話をつないで来た。
「そうですね。先輩を通して来ていた企業の業種が食品だったり薬だったりでし
たから。雪月花は石鹸を主体にしている会社ですから化粧品を業種として増やせ
る可能性がありました。そこで夢を持ちたい希望がありました」
「そうですか。ナミカさんとの出会いが福賀さんの夢につながったのですね」
「これも運ですね」
「父は社長として最高の仕事が出来たと喜んでいました」
「それは社長でないと解らない事ですが、100年に一人出るか出ないかって人
材を取るか取られるかは企業として大きな案件なのでしょうね」
「そうですよね。浮くか沈むかでしょうから」
「実際に一年後に収益が2倍3年目で3倍と増えたそうですから」
「それで株主からも役員にと望まれ社内の役員からも押されて役員にと云われて
専務ならと云ったんですね」

「そうです。部担当の役員では思うようにお役に立てないからです」
「じぶん党の山上さんにも官僚としてって云われた時に副総理ならって云ったそ
うですね」
「そうです。全てダメもとですから。それに此方からお願いしてないです。頼ま
れての事ですから」
「頼まれてって強いですね」
「頼まれたいですね」
「頼みたい人でなくては頼まれませんよ」
「それはそうだ。頼みたくなる人になるのが先だね」
「あの正月元旦の2ページ見開きの新聞広告には驚かされました」
「私もです。今までに無かった本当に目が覚める思いの新聞広告でした」
「大将も見たでしょう」
「ああ見ましたよ。ビックリしましたよ」
「社名変更と化粧品部門新設。そして福賀さんの略歴と化粧品宣伝部・部長とし
て入社紹介の新聞広告。今までに一度も無かった広告でした」
「此れだけで株式会社雪月花は何処の企業よりも一歩も二歩も前に出た企業とし
て知られたと思います」

「福賀さんの入社が社長によるスカウトだった事も衝撃でした」
「スカウトはスポーツ界か芸能界のものでしたから企業でもあるんだって」
「社名変更からあの新聞広告まで10項目の要望を全て受け入れた月下社長も
大きな方ですね」
「その前にナミカさんと出会っていたのも不思議ですね。何か大きな力が働いて
いる様な気がしてなりません」
「そうですね。先ず其処からが始まりですか?」
「それとも福賀さんが3歳の時にご両親を交通事故で無くされた。其処からでは
ないでしょうか?」
「そこから今の福賀さんに通常は想像もつかない不思議な力が働き始めたのかも
知らませんね」
「恐らく、その力は今も、そして此れからも・・・」
「でしょうね」
「福賀さん!また寝ちゃった」
「あ!そう云えばっ気が付きました?車が動いているのか止まっているのか?」
「気が付きませんでした」
「これが福賀社長直伝我が社の売り運転です」

 つづく

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